無口少女、だけど本当は…？３【忍たま】

無口少女 この子 ページ23

今日は新月





だから光なんてひとつもなくて









『…ｯ……』









涙を隠すのに丁度いい





伊作さんには悪いけど保健室を抜け出して外に出た

筋肉痛で痛い足を無理やり動かせ、裸足で暗闇を歩

き続ける





涙を流しながら









「ｸｩｰﾝ」





あの子が顔を擦り寄せてくる

ずっと待っててくれたらしい





『ありがとう…ずっと待っていたんだね』





両手で頬を撫でる





『あのね』





この子にならいいだろうか









.









『とても怖かったの、三郎が苦しんでいる姿を見

て…泣きそうになった。でも何とか助けることが出

来て…また泣きそうになった。三郎が目覚めた時も

泣きそうになって……もういっぱいいっぱいで』





ジっと私を見て話を聞いてくれていた









『ｯ無事でよかった…みんなも三郎もｯ、あの時…

プロ忍を相手にした時、本当は…無理なんじゃない

かって思って、もう二度と戻れない、みんなに会え

ないと思った…でも会えた…けどｯ』





膝から崩れ落ち









『三郎が毒にやられてて…ｯ…頭が真っ白になって

いなくなっちゃうとか思って……もうぐっちゃぐち

ゃで、』





寄り添うように体をくっつけてきた









『…私も、倒れちゃってさ……目が覚めたら三郎が

目の前にいるし…………口付けされたし』





もう聞き取れないぐらい涙声で









『嬉しくて…悲しくて…苦しくて…とても辛くて

心臓が握りつぶされるんじゃないかってくらい痛く

て……』





遂には力なく横倒れる









『私、本当に……好きなんだなぁって思った』









この子の暖かい体温を感じながら









目を閉じた

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