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石畳の上に五人の青年が立っていた。青年たちはそれぞれにみな違った方向で美しく、背からは天界の者であるであるという証、翼がはえている。
「ちょっと王様〜？あんずに冷たくされたからってそんなに乱暴に記憶引きちぎる必要無いんじゃない？」
五人の中の一人の青年が不満げな声を上げる。ふわふわとした銀色の髪と対比されて輝くエメラルドの瞳が印象的だ。彼の名は瀬名泉。素直でなく口が悪いが、一度懐に入れた人間にはとても面倒見が良い。
「……うるさいぞセナ〜！！おれは今気が立ってるんだ！」
泉の言葉に反応して地団駄を踏む青年は月永レオ。彼は仮にも悪魔討伐組織ナイツのリーダーである。悪魔討伐組織ナイツとは下界、または人間界に潜伏し人間を襲う悪魔を討伐する組織である。そのメンバーは公にはされていないが、天界から遣わされた天使の青年で構成されている。
「reader!そんなことをしていてはまたお姉さまに怒られてしまいますよ！」
ぷりぷりと赤髪のアホ毛を揺らしながら進言する青年は朱桜司。紳士的だがナイツの中で一番の末っ子ということもあり、まだ子供な面がある。
「なんだと！末っ子のくせに生意気な〜！！！」
レオがガルルルとうなり声をあげ、司に飛びかかろうとする。
「はいはいストップ。司ちゃんも王様もケンカしないのっ！」
金髪に紺桔梗の瞳を持つ青年、鳴神嵐が司に飛びかかろうとするレオの顔面を鷲掴んだ。嵐の計り知れない腕力に、レオの頭蓋骨がみしりと音を立て、ついでにレオの悲鳴が上がる。
「ふぁ…つかれた〜もう早く帰りたいんだけど…」
夜闇に輝く黒髪と赤目が美しい青年、朔間凛月はもがくレオを尻目に石畳にごろりと寝転ぶ。
先程までの緊迫した雰囲気は何だったのか、混沌と化した石畳の道の一角。泉は更に面倒くさい事になったと口角をひくりと震わせた。
ふと、家で待っているであろうあんずの顔が浮かぶ。
『瀬名先輩！今日の晩御飯はエビチリですよ！』
ふわふわの肌と髪、くりくりとこちらを見上げる瞳。もちもちと柔らかそうな肌。
「……あーもう仕方ないなぁ。あんた達さっさと帰るよ！」
ぱんとその場に終止符を打つように手を叩く。あんずの笑顔が見たいから早く帰りたくなった、というのは泉だけの内緒の話だ。
♰♰
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作者名：春夏秋冬 ハイラ | 作成日時：2019年5月19日 18時
