この世界の片隅に4【土方十四郎】 (ページ8)

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話は思いの外早くまとまった。

二日後、その人はうちを訪ねてきた。
私の顔見るなり安心したのか肩の力が抜ける。

そしてそのままぎゅっと抱き締められた。
懐かしい匂いに涙腺が緩みかけそうなのをグッと堪えてその背中をポンポンと優しく撫でた。

「何勝手に真選組辞めてんでィ」

『ごめんって』

黒の制服を纏っていない彼＿＿総悟くんはいつもより弱気な口調。

神楽ちゃんが血眼になって探してると言っていた意味がここで分かる。
元々不眠症なのにいつも以上のクマを携えているし顔色もどことなく悪く感じる。

すごく申し訳ない気持ちになった反面、こうなるくらい思っててくれたんだと不謹慎だが嬉しくも思った。

「嫁に行くって聞いてねェぞ」

『言ってないもん』

「何勝手に嫁に行こうとしてんだてめェ」

『そこは私の勝手でしょーが』

「俺ァ認めねェぞ」

殺意の篭ったような、いつもより低い声に肩が震えた。

多分、というか完全に怒ってる。
まぁ当たり前か。仮にも私はこの人の＂好きな人＂であるのだから。

…自分で言いたくなかったけどね、不覚だ。

「ったく、こんな近くにいやがって」

『灯台下暗し、的な？』

「何ちゃらけてんでィ、はっ倒すぞ」

『ごめんなさい刀抜かないで』

謝ればすんなりと柄から手を離した。

ホッとしたのもつかの間、バシンと頭に一撃。殴られたなんて確認せずともわかった。
痛む頭を抑えて目線を上げればいつもの馬鹿にしたような笑み。

(ーー…懐かし)

なんて思ってしまうくらい真選組から離れてたということか。

ちょっぴり、…いや、だいぶ悲しい。