この世界の片隅に4【土方十四郎】 (ページ38)

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百八十八ページ38

『私が生きてる限り怨みの連鎖は断ち切れない』

「お、おい！A、お前もしや…」

『近藤さん、貴方には本当に感謝してます』

ボロボロになった私と蓮を拾ってくれて、蓮がいなくなってしょげていた私を何度も元気付けようとしてくれた近藤さん。

＂生きてたら良いことはある＂

そう口癖のように私に教えてくれた。
そんな近藤さんの言葉はあの頃から変わらず私の心の中に生きていて、きっとこれはこの先もずっと輝きを纏いながら生き続けるんだと思う。

あの時もう死んじゃってもいいかも、なんて思ってたけれどもう一度、もう一度生きようと思わせてくれた。

『生きる意味を見出してくれたのは紛れもなく近藤さんです』

「なら…！！」

『だからこそ！…もう貴方の、貴方達の邪魔をするわけにはいかないんです』

「…てめェ何言ってんだ」

『総悟くん、真選組は侍にならなきゃ駄目。こんなとこで、私一人のことで戻ったら駄目なんだよ』

そう、真選組は進まなければならない。
江戸で侍になると決めた人たちの集まり、私はその中にいたことを誇りに思う。

だからこそ、悪い芽となる私は摘み取らなくては。

『この人たちの目的は私を殺すこと。それを達成したらどうとでもして構わないから』

「A、お前さっきから何寝ぼけたこと言ってんだ」

『私は寝ぼけてなんかないよ、ちゃんと起きてる。前向いてる。総悟くん、わかって』

蘭の名を呼べば「もうよろしいのね？」なんて笑みを含んだ言い方をするもんだから、笑いが溢れそうになる。

死ぬことを覚悟してる相手を殺すだけでも満足なんだ。

結局は兄様を殺した私を殺せればそれでいい、師走も雪さんを酷い目に合わせて挙句巻き込み殺した私を殺したい。

それだけの話なんだろうな。

刀が風を切った音がして、今度こそ覚悟をした。

なのに

なんで、

「勝手に死のうとしてんじゃねェ!!!」

なんで貴方は私の中に入り込もうとするの。