百八十四 ページ34
なんでこうなるのか。
私が何をしたというのか。
あの頃は期待に応えてもらおうと必死にもがいて、でもそれは簡単に払い除けられて。
何が私をこの場に追いやってるかなんてわからず真っ暗な闇へと放り出され、やっと差した光さえも真っ赤な炎に飲み込まれ。
諦めてた頃に現れたあの人達に助けられ。やっと、やっと進めるって前に向ける認められる場所が出来たって。
なのに。
あれからどうしてこんなにも人が消えてるんだろうか。
あの時、生まれてきたことすら間違いだったのか。
あの日。兄様の本当の妹が亡くなった時に私が生まれなければこんなに人が死に、傷つくことはなかったのかもしれない。
近藤さんに拾われた時、こんな世界でも生きてみようと。そう言ったあの人の言葉を信じて前を進んできたけれどそう思うことすら私には許されなかったのだろう。
(ーーー…私なんで生きてるんだろ)
『っ‼』
首に腕を回されググッとに力を込められる。息苦しさに顔を歪めると蘭が耳元で笑う。
「嬢ちゃま、今どんな顔してらっしゃると思います?」
『…』
「絶望ですわ、絶望。ふふ、やっとその顔が見れた」
(ーーー嗚呼、私この世界に絶望したんだ)
世界広しという。きっとこの片隅で起こってることは大きな世界からしたらなんでもないことで、明日になれば私がこうなってることさえみんな忘れる。
私がここで蘭に殺されれば
火事の主犯だった娘なことも
蓮を守れなかったことも
雪さんに手を伸ばせなかったことも
兄様を斬ったことも
生まれてきたことも
全部許されるのかな?
もう…
『蘭、殺していいよ』
疲れたんだ。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時