この世界の片隅に4【土方十四郎】 (ページ28)

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百七十八ページ28

『はーい、銃刀法違反ならびに武器の不定取引。あと横領か。とにかく証拠は山ほどあるんで皆さんぶった斬りまーす』

「お前段取りとかないわけェェェエ！？」

後ろで叫ぶ旦那を置いて桜雨を抜けば、目の前の浪士達は狼狽える。
そして私の顔を見て何人かは＂真選組だ！＂と叫ぶ。
けど一人、神無月の右腕の男だけは私を見て鼻で笑った。

「真選組をやめたんだから俺らを斬ったところでお前自身がどうなるかわかってんだろうな？」

『あったりまえでしょー。潔く捕まるよ。けれどね』

懐から出した短刀を後ろへ振り投げればドサッと音がした。振り向けば旦那の後ろに銃を持った男。旦那は気にせず突っ立ってたけどまあいいか。

ま、きっと油断してるとこを打とうとしたってところだろう。それを見たソイツは少し顔を強張らせる。

『もううちの人たちに二の舞踏ませるわけにはいかねェんですよ』

「二の舞…なんのことやら。でもまぁ此処を知られてしまったからには生かして帰すわけにはいきませんね」

その言葉に周りの男達が刀を抜く。
チラリと見えた指名手配の浪士。やはりかと溜息を吐く。

そして旦那に振り返る。

『旦那ー』

「あ？」

『この数、どう見ます？』

「あー…ンなもん簡単だよ」

腰に刺さる木刀を抜いて首をゴキゴキと鳴らした。

「叩っ斬りゃいい話じゃねェか」

「ンなもんただ斬りゃあいいんだよ」

ふと重なったあの人の影。

それに頬が緩んだ。

(ーーーやっぱそっくりだなぁ)

刀を握り直し目の前の奴らを睨みつける。

『遺言なら聞いといてやるけど？』

「その言葉そのまま貴方へお返ししますよ」

相手が頬を緩めたのと同時、私は地面を蹴った。