百六十九 ページ19
「…で、銀さん何か秘策あるんですよね?」
捕まることは極力避けたいと思っている新八くんの言葉には心配が滲んでいた。
なのに旦那は
「あ?ンなもんある訳ねーだろ」
「アンタそれでAさん止めるとか言ってたの!?え、馬鹿なの!?」
とまぁいつも通りだった。
ギャアギャアと騒ぐ新八くんを横目に神楽ちゃんは鼻くそをほじりながらぼーっと見てる。
…貴方これでもこの漫画のヒロインなんだよ。
この夢の世界では私がその立場かもしれないけれど本誌では貴方なんだよ…なんてツッコミを心の中でする。
何故口にしないのかなんて疑問は持たないでほしい。
……一応私この世界弁えてるから。
「弁えてねーよ‼心の声でも読者には伝わってんだよ‼アンタも馬鹿なの!?」
「新八、さっきから煩いアル。別に夢だろーが現実だろーが関係ないネ。要はあのクソジジイを捕まらないように殺ればいいだけのことアル」
「いやそんなことわかってんだよ‼けどどうやって捕まらないようにその人殺すの?ねぇ、一応廃刀令があるご時世なんだよ!?」
「安心しろ、新八。ここは文字の世界だ、なんとでもなる」
「なんとでもなるじゃねーよ‼おめーら設定っつーもん守れよ‼崩壊しかけてんぞこの世界‼」
『…落ち着こうか新八くん』
ゼエゼエと肩で息をする新八くんを宥めながらそろそろ方向修正を図る。
まぁ元はと言えば私が謎の心の声を漏らした所為でもある。
よしよしと頭を撫でてから話を切り替える。
『旦那たちはことが片付き次第逃げてください。あとは私が被ります』
「それじゃァ遠慮な」
『少しは遠慮する流れだろ』
一発頭に拳を叩き込めば旦那は畳にめり込んだ。
…話が進まない。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月26日 11時