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「いま暇か」
玄関に仁王立ちするこの人は佐野一家と交流が深い
黒川イザナさん｡
エマのお兄ちゃんらしい｡
でも､それもまた違うとかなんとか｡
経歴自体がかなり読み込みにくい御人ではありますが､
基本的にそんなに悪い人では無いらしい｡
真一郎さんとしては素直じゃないところが可愛いんだとか｡
愛だね｡
と､私が冷静に彼のプロフィールを頭の中で迷走させているのは
あることが驚きだからです｡
『あの､なんで家を知ってるんですかっ』
そう! なんたってこの人!
教えたこともないのに私の自宅初訪問なんですよ!!
普通に声が震えちゃったんだけど｡
「………三途が」
『ハル君が教えたの!?(なんかすごい間があったけど)』
教えるとは到底思えない｡
だって二人､相当因縁が深いと思ってたから｡
よくわかんないけど“仲良く喧嘩しなタイプ”ってこと…?
「……｡
(三途がコソコソ歩いてるの偶然みつけて､背後から襲撃しようとしたら､あの野郎Aの尾行してて､家に入る所まで成り行きで見ちまったから知ってる｡)
まぁ､そんな感じだ｡
(なんて言ったらやべぇだろうな､ちょっと怯えてるし)」
何を思ってるのか現在進行形で読めないんだよね｡
「お盆は家に居んだろって万次郎が言ってたから
なんとなく寄っただけ」
なんでハル君から住所聞いたかの経緯はスルーなんだね
怖くて聞きたくないから別にいいけど｡
『そっか､マイキーたちも今が行く時間なんですね｡
私はお父さんがお花屋さんだから､この時期掻き入れ時で｡
家族が忙しいから､私はお墓参りとお盆支度をやる以外
あんまり外出ないんです』
「へぇ､じゃあもう墓参り行ったのかよ」
『あー…ははは』
玄関先だとしても
だらしない顔はできないな､と
軽く水で流した顔をじっと見られる｡
あれ､まさかヨダレの後がまだ残ってたのかも!
ハッとなり急いで自分の口元を拭うと
「サボりか」
イザナさんは少しだけ口元を緩ませた｡
もしかして､今の動作で確信つけちゃった?
アホなのかな､私は?
『ち､違いますよ…｡ 居眠りは､その､反省しなきゃだけど｡
もう少し日が落ちたら行こうかと…
あといっそのこと夕方くらいに帰ってくる
父と合流して行くのもいかと考えて』
恥ずかしさで燃えそうな顔を伏せながら
言い訳のように言う私｡
「…会わせろ」
『はい??』
「Aの母親に会いたい」
本当にいつも突拍子がなくて
読めない人ですね｡
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作者名：graybear | 作成日時：2024年1月11日 21時
