38 ページ38
.
no side
横山「__なんや、思ったより元気そうやん。」
渋谷「…おかげさまで」
ガコンと大きな音を立てて扉が閉まる。
部屋に入ってきたのは、小柄な男と 刑務官だった。
横山は対面窓ごしに小柄な男__渋谷に笑みを向けると、渋谷はそれに応えるように口角を少しだけ上げた。
渋谷「どうせ面会するなら、女が良かったわ。」
横山「よぉ言うわ。あの子じゃなきゃ嫌がるくせに。」
渋谷「……、」
横山が口にした人物に反応し、バツが悪そうに頬をかく渋谷。
そんな姿を見て横山は可笑しそうに笑った。
横山「……無期刑、やねんてな。」
渋谷「あぁ…みたいやな。」
横山「みたいやなって…おま、Aさんと約束してたやん。」
渋谷「…お前いつからアイツの名前呼ぶようなってんねん」
いや、そんなことはどうでもよくて！
と思わず叫びそうになり立ち上がった横山だが、刑務官の冷めた目線に気づいて 再び座り直した。
横山「……今は妬いとる場合ちゃうやんけ。
お前…あの"約束"どないすんねん」
待っててくれるか、と。
この男は彼女に言った。
彼女だってそれに頷いてたはずだった。
横山は、交わされたその約束を 隣で聞いていた。
渋谷「…ええねん、俺らは、これで。」
横山「……」
渋谷「あいつも…Aも、これでいい言うわ。」
横山「…わからんな、俺には。」
せやろな、と渋谷は笑う。
その笑顔を見て、横山は この男ならもう大丈夫だろう と確信し、席を立った。
この会話だけで、充分だ。充分すぎる程に、伝わった。
横山「…帰るわ。」
渋谷「……あぁ、」
横山「ほな、元気でな。」
刑事が殺人鬼に言う言葉ではないなと笑いながら、そう告げる。
そして踵を返してドアノブに手をかけた横山に、渋谷が声をかけた。
渋谷「……なぁ、」
横山「ん？」
渋谷「……
横山「…あい、つ？」
.
.
.
渋谷「……村上、とかいうやつ」
知り慣れたその名を、渋谷は何故か嫌なものを思い出すような顔をする。
横山「ヒナ？ヒナが何？」
渋谷「……横山、頼みがあんねんけど」
横山はドアノブから手を離し、身体を渋谷へと戻す。
渋谷「________。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1033人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なっか(プロフ) - ぁぃ岡ちゃんさん» お返事遅くなってごめんなさいorz 村上くんは登場させた時からヤンデレ落ちにしようと心に決めてたので そう言って貰えて嬉しいです！多分この小説の中でマトモなのは横山くんだけです(笑) 新作の方もちまちまと更新するのでこれからもよろしくお願いします＼(^o^)／ (2018年11月29日 7時) (
レス) id: c94037b149 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃ岡ちゃん(プロフ) - 変なタイミングでコメント失礼します。実はこの作品3回以上は読むほど大好きで...！ ヨコもひなちゃんもいいキャラだし、何より殺人鬼とは思えないこのすばるくん！！！もう会えないとかとても悲しいですが、幸せな気持ちにもなって、、！新作の更新も楽しみです！ (2018年11月24日 13時) (レス) id: b0cf436bba (このIDを非表示/違反報告)
のこ - にゅいさん» ほんとそれ。 (2018年6月6日 1時) (レス) id: d930366955 (このIDを非表示/違反報告)
なっか(プロフ) - ∞みきりんご∞さん» お返事が遅くなってごめんなさい(＞＜)はい！フォロバさせていただきました、ありがとうございます！ (2018年2月26日 21時) (レス) id: c94037b149 (このIDを非表示/違反報告)
∞みきりんご∞(プロフ) - なっかさん、青鳥フォローしました！どさくさに紛れて、みたいな感じですが… りゅーかってやつです。 (2018年2月26日 19時) (レス) id: 4856ac329b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なっか
| 作成日時：2017年12月19日 12時
