制服の色 抜け出せない深み ページ24
「…狛枝…?」
少し離れたところから、彼は私達を見て呼んだのだ。
「あ、あれ…」
花村も驚きを隠せていない。
私は突然と現れた狛枝を見て助かったと思った。
横で
"皆帰ったと思ってたのに…"
と小さく聞こえた言葉は怖いので無視をする。
「ごめん、ちょっとAさんに用があるのを思い出してね…」
ひょっとして、邪魔だったかな?と小首を傾げる狛枝に、Aはブンブンと勢いよく横に首を振る。
「…良かった。じゃあAさん、ちょっと来てくれる?
花村クン、また明日」
そう言って、慌てる花村を尻目に狛枝は私の手を取り歩き出す。
「ぁ…、ご飯美味しかった。
また作ってくれると、嬉しい」
そう花村に伝えると、緩く手を引かれながら食堂を後にした。
_______
2人の帰り道は同じ方向で、たまに一緒に帰ったりしている。
私に用があると言っていた彼は口を開かずにいつもの道を歩いていた。
だから私もなんだか気まずくて黙っている。
繋がれた手を凝視しながら。
不意に
「…危機一髪、て所かな…」
そう緩やかに笑いながら最初に言葉をかけたのは、狛枝だった。
その言葉で気付く。
きっと彼には花村と私がどんな会話をしていたのか聞こえていたのだろう。
「き、聞こえてた…?」
「今日は廊下が静かだったからね。
Aさん、困った様な顔をしていたし」
恐る恐る尋ねると、そう狛枝は笑う。
きっと用があると言ったのも、あそこから抜け出す口実だろう。
「そ、そっか…。ありがとう…」
Aが困った様に微笑み礼を言うと狛枝はうん、と頷く。
それから他愛のない話をしていると、分かれ道に来た。
ここからは別々の道だ。
「また明日ね、狛枝」
「…うん。また明日、Aさん」
どちらからともなく手をゆっくり離す。
夕焼けに当たった彼の白い髪は、周りの色に影響されるようで黄昏色に染まり
お互いの暖色の制服は、より一層の深みを帯びていた。
Aは密かに思う。
__こんな日が、ずっと続けばいいのに__
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☆?(?v?。)(プロフ) - ええ〜!これからどうなるんだろう…皆と会えるのかな…?読んでて本当に楽しくて一気読みしてしまいました。更新待ってます! (2023年1月6日 1時) (レス) @page25 id: 55f21e1ec6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 凄く好きです!更新楽しみにしています。 (2022年6月10日 2時) (レス) id: db5b18e24f (このIDを非表示/違反報告)
枢戸(プロフ) - 粉雪さん» 暫く時間が空いてしまいましたがこれからまた毎日少しずつ更新していければなと思います。今日もありがとうございます。 (2021年5月7日 1時) (レス) id: 8715b54326 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪(プロフ) - 更新お疲れ様です!そこで助けに入るのはまじでイケメンすぎる…次回の更新も待ってます (2021年5月7日 0時) (レス) id: 1b838ad70c (このIDを非表示/違反報告)
枢戸(プロフ) - らさん» Twitterにまで興味を持って頂けて嬉しかったです。ご縁があればTwitterで繋がれればと思います。 (2021年4月25日 9時) (レス) id: 8715b54326 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:枢戸 | 作成日時:2020年12月24日 0時