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101話目 ページ11

軽く深呼吸をする。






この部屋に来るのももうひさしぶりだ。




トリガーをかざすとウィン、とドアが開く。




しばらく見ていなかった目の前の人に話しかける。








『お久しぶりです、城戸司令』


「ああ。ご苦労。......傷はもう癒えたのか?」


『はい、なんとか』


「そうか」


『迷惑をかけてしまい申し訳ございません』






顔色をそっとうかがう。






......やっぱり変わらない仏頂面だった。








『防衛任務任務はいつからいつから入ればいいでしょうか?』


「来週から入れ」


『了解しました』








しばらくの間沈黙が続く。








す、と城戸司令が目を細める。





私が話したいことがあると気づいたようだ。









『......少しだけ、私的な話をしてもいいですか?』




「......構わん、なんだ」





『大規模侵攻の日、私の親が死んでしまいました』



「......」



『私は、ほとんどの時間を親とは別に生活していました』







城戸さんは、何も言わない。






『それは、仕事をしていたからで、』



「......何が言いたい」





話の腰を折られる。




『何かが引っかかってるんです。私は知らないことが多すぎるから、』

「おまえは」







城戸司令がじっとこっちを見る。









「未だに過去に囚われているのか?」





......なんで。





『囚われている訳じゃ、』


「私は何も知らない」







額の傷に触れながら淡々と、畳み掛けるように。









「話はそれだけか」





『......っ、はい、失礼しました』









ドアの外に出て、壁にもたれ掛かる。









弱みを見せた。









その後悔だけが、押し寄せていた。

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(プロフ) - 何も言わずに旋空弧月さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです。ちょうど一話更新したのでもしよかったらぜひ!これからも低速ではありますが更新していきたいと思うのでよろしくお願いします! (2021年5月27日 22時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
何も言わずに旋空弧月 - ストーリーに惹き込まれ一気読みしました。大好きです。作者様の都合もあると思うので気長に更新を待ってようと思います。 (2021年5月27日 20時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 天さん» いえいえ!作者様にも事情がありますし、こうしてまた更新します!と言う言葉を見て、帰ってきたー!と嬉しかったです!はい!こちらこそ、これからも宜しくお願い致します! (2021年4月11日 12時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Yu-grenaさん» コメントありがとうございます!本当ですか……長い間更新が止まっていて申し訳ないです……すごくうれしいです!これからもよければよろしくお願いします!! (2021年4月11日 6時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 初コメ失礼します!天様のワートリ小説(三輪くん)のお話、一から読んでて…大好きです!これからも無理せず、お体に気をつけて頑張ってください!応援してます! (2021年4月11日 0時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天(元れたす。) x他1人 | 作成日時:2020年1月2日 14時

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