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33話目 ページ36

太刀川side


長い間帰っていなかった家にひさしぶりに帰るといい匂いがしてくる。





キッチンに行くとちょうどなにか作り終わって盛り付けたところのAがいる。


今はもう10時だ。


いつから料理始めたら今できるんだろうな、と考えながらひょい、とAの後ろから覗き込む。




「おー、美味そうだな、チキン南蛮か?」


『帰ってきたらただいまとか言ってよ、まあ音で気づいてたけどさ』



今日だけでもう散々痛い目見たからね、と言って疲れたような顔をする。



「ん?タルタルソース手作りか?」


『よくわかったねえ、初めて作ってみたんだ、失敗してたらごめん』



俺はそりゃ怖いな、と呟きながらソファーに座る。


そこにタルタルソースがたくさんかかったチキン南蛮の皿と味噌汁がコト、と置かれる。


そして俺の横に座ってテレビを付ける。



俺はいただきます、と手を合わせて、それから肉にかぶりつく。



「ん、うまいうまい」


『あ、ほんと?良かったー』



そう言って笑うAを見て、初めて帰ってきたんだな、と自覚する。


しばらく沈黙が続き、Aはふとこっちを見て聞く。



『...どうだった?』


俺はなんのことか分かってて何がだ?と聞き返す。



『黒トリガー』




Aはそう呟いて味噌汁をすする。


ワカメと豆腐だけのシンプルなものだ。




「......迅が出てきて、負けた」


『うん、予想通り』




予想してたのかよ、と俺は苦笑いをする。




「で、迅が風刃手放した」


『ふーん......え!?』





「なんかその黒トリガーの持ち主のネイバー助けるためだってさ」



『......あんなに黒トリガー争奪戦で執着してたのに?』


「風間さんと同じこと言うんだな」





Aは私風間さんと同じこと言ったの?風間さんと同じこと考えるとか嬉しいんだけど。と言って最後のチキン南蛮を頬張る。




『そっか、負けたのか...それにしても迅さん凄いなあ、A級上位3部隊プラス三輪隊に勝つとか......化け物』



「まあ嵐山隊も敵だったけどな」




Aは驚いた顔をしたけど

『あー、確かに忍田さんならそうするかも』

と言って納得した様子だった。





そしてAは突然、何かを思い出したようで、あ、と呟いた。



「どうした?」




『......あ、いや...おつまみはあるけどビール1本もないよって言ってなかったな、と』





マジかよ、と俺は呟いてソファーに深く座った。

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(プロフ) - 皇海 宙さん» ありがとうございます!!うれしいです!!まだ完結していませんが、よろしくお願いします!! (2020年3月23日 13時) (レス) id: fde802959e (このIDを非表示/違反報告)
皇海 宙(プロフ) - ワートリ大好きなんで、思うところがありました...。続きが気になるので、part2,3読んできますね!w (2020年3月23日 13時) (レス) id: 38af579ced (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです!!更新頑張ります!! (2019年12月31日 13時) (レス) id: fde802959e (このIDを非表示/違反報告)
- 続き見たいです!凄い面白かったです! (2019年12月30日 23時) (レス) id: b5eb63bfb4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - YUKARI♪さん» 見てくださってありがとうございます!!楽しんで見ていただけていたら幸いです!! (2019年11月23日 18時) (レス) id: fde802959e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天(元れたす。) x他1人 | 作成日時:2019年9月14日 14時

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