8話 小さな少女の爆弾発言〜買い出しデート（仮）3〜 ページ9
「オットー、ほら。挨拶して」
「あでっ」
早く、と急かしてくるAは、オットーの脇腹をつねる。
理不尽な暴力に対する抗議の視線を送るオットーだが、Aは気づかないふりを決め込んでいるらしい。
彼は、やれやれといった風に小さくため息をつきながら、集まってくれた村の人達に向き合う。
「初めまして。僕はオットー・スーウェンといいます。昨日から、エミリア様のところで内政官を務めさせて頂いております。今後、この村の皆さんにお世話になるかと思いますので、ご挨拶に伺いました。どうぞ、お見知り置きください」
村の人々は、オットーの挨拶に数秒キョトンとしたあと、一斉に笑い出した。
「あっ、っははは、な、なにっ、なに、そのっ、あいさつ、ははっ、あは……」
人一倍と言っていいほど大爆笑している少女に至っては、固まっているオットーの背中をバシバシと
叩いている。
「あ、あの、Aさん、これは……」
困惑した表情のオットーを楽しんでいる様子のAは、可笑しそうに言った。
「きっとね、オットーとスバルのギャップがすごすぎて、みんなのツボにハマっちゃったんだよ。スバルがあんなだから、村の人達は、オットーのこともあんなだと思ってたんじゃない？まさか真面目ちゃんだなんて、夢にも思ってなかったと思うよ？」
笑いをこらえながらも、Aは的確な状況整理をして見せる。
「なるほど……。要するにナツキさんのせいで、みなさんが僕にえげつない偏見を持ってたってことですね！？」
「まあ、言い方はアレだけど、そういうこと。ふふっ、オットー、お疲れぇ」
歯を見せながら笑うAは、まるで小悪魔だった。
「今煽らないでくれます！？」
低レベルな煽りにも反応してしまうのだから、急に大勢が笑い出したのは、オットーにとってかなり
衝撃的だったのだろう。
哀れだなと思いつつ、Aは自分のメイド服をちょいちょいと引く小さな少女に「どうしたの？」と尋ねる。
「Aとおにーさん、らぶらぶなのー？」
爆弾投下。
両者、一瞬の思考停止。
しかしこの場において、思考停止は互いを意識していることを意味する。たとえ一瞬でも。
だが、思考停止した事実に、Aもオットーも気づくことはない。
なぜならば、このあとの少女に対する最善の返しを必死に考えているから。
小さな少女の爆弾発言。
果たして、恋愛に不慣れな彼らに、自然な返答ができるのだろうか。
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あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です！ またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします！ (11月1日 18時) (
レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん！(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくる | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時：2023年7月2日 1時
