検索窓
今日:2 hit、昨日:31 hit、合計:2,769 hit

6話 器用なメイド、不器用な内政官〜買い出しデート(仮)1〜 ページ7

次の日。

「オットー、さすがにもう、準備できた?」

ドアの向こうから、笑いを堪えるように問いかけてくるのは、外出用のメイド服に身を包んだAだ。
慣れないよそ行きの服に、かなり手こずっているオットー。
着替え始めてから、実に1時間が経過している。
女性であるAの支度が、20分で済んだと言えば、オットーの不器用さがよく分かるだろう。

「あー……、あと10分!あと10分だけ待ってください!」

「さっきからずっと同じこと言ってる。もういい。私が手伝うから」

「あ、ちょっ、」

ガチャ、とドアが開く音。そして、

「……ここまで酷いとは、聞いてない」

「うっ」

床に散乱しているワックスやヘアブラシ、そして、Aが一生懸命選んだスーツ。
目を少し部屋の端にやると、ちらっと下着なんかも……。

「もう、いつも緑のダサいのは、ちゃんと着れてるのに」

下着に反応してしまったのだろう。Aの頬に、わずかに朱が差している。

「僕、結構あれお気に入りだったんですけどねえ!?酷いな!?」

「いいよ、私がやる。オットーは着方と髪のセットの仕方、見て覚えて」

「ありがとうございます……。てか、買い出し行くのにこんなにおしゃれする必要、全く無い気がするんですが……」

オットーが少し困ったように言う。

「オットーはこれでも、うちの陣営の内政官。村の人に舐められたら大変。最初ぐらい、きちっとしないと」

「これでもってなんですかねえ!?まあ、格好に気合い入れるのは、言われてみれば、納得ですね」

うんうんと何度も頷くオットー。
それを横目に見ながら、Aは黙々と彼の身だしなみを整え、15分もかからないうちに仕上がってしまった。
さすがメイドなだけある。

「次からは、手伝わないからね」

Aはニッと歯を見せ、期待はするなと釘を刺す。

「はぁー、これを自力で、ねぇーー……」

「わ、わかった。慣れるまで、少しだけなら、ほんの少しなら、手伝ってあげるから」

苦肉の決断ぽく言っているが、デレが隠しきれていない。

「すみません、Aさん。……ぜひ、お願いします」

「大したことじゃ、ないよ。それよりほら、早く行こう。村を見て回る時間がなくなる」

「そうですね、行きましょう」

着替えの手伝いを、お互い過剰に意識してしまったのは、ここだけの秘密だ。

7話 この花の名は〜買い出しデート(仮)2〜→←5話 初めての約束



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定タグ:リゼロ , オットー , Re:ゼロから始める異世界生活   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です! またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします! (11月1日 18時) (レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん!(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あくる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/  
作成日時:2023年7月2日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。