5話 初めての約束 ページ6
「オットー、夕食できた」
「あっ、わざわざありがとうございます。……ところで、Aさんは怒っていないんですか？」
おそるおそる、といった風に尋ねるオットー。
「そんなことで、私怒らない」
私のこと、何だと思ってるの、とAは頬を膨らませる。
「Aさんって多分、冗談言ってもあんま冗談に聞こえない系の人ですよ。さっき怒ってたのも、まさか冗談だったとは……」
オットーはそう言って、苦笑する。
「ええっ、そんなに？」
「ええ、そんなにです」
大真面目に答えるオットーに思わずAはブフッと吹き出す。
「あははっ。なんでそんなに真面目に答えるの、おもしろすぎ。……そういえば明日、村に買い出しに行くんだけど、たくさん買う予定だから、一緒についてきてくれない？」
低身長を活かして、上目遣いでオットーにお願いするA。
もっとも、本人はそんなつもりはないのだろうが。
「いいですよ。ちょうど僕も、屋敷の周りをじっくり見てみたかったんです」
にこやかに了承したオットーに、Aは少し、頬を赤らめた。
「……ありがと。言質、取ったからね。絶対、約束」
「ええ、もちろん。約束です。明日は仕事が休みですし。そうだ、明日、少し村を見て回ってもいいですか？」
オットーは屋敷に来たばかりなので、今日を含めて三日間は、ロズワールに休みをもらっていた。
ここでの人間関係や生活に、早く慣れるためだ。
せっかくなら、今のうちにAと仲を深めておこうと思ったのだ。
「うん、いいよ。……そうだ、早くしないと。オットーのご飯腐っちゃう」
「いくらなんでも早く腐り過ぎじゃないですか！？まあすぐ行きますが！」
そんな風に笑い合いながら、二人はダイニングルームへと歩いて行った。
なお、オットーの夕食はAの宣言通り、辛いものや苦いものは一切なく、甘いもので統一され
ており、本日何度目かもわからないオットーの悲鳴が上がった。
『デート』の3文字が、二人の脳裏をよぎっていた。
6話 器用なメイド、不器用な内政官〜買い出しデート（仮）1〜→←4話 恋と呼ぶには、未熟な気持ち
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あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です！ またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします！ (11月1日 18時) (
レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん！(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくる | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時：2023年7月2日 1時
