11話 メイド様は照れられているようです 夢主side ページ12
一番の年長者であるフレデリカの指示に従い、私はオットーの部屋に向かう。
部屋のドアをコンコンッ、とノックして、しばらく待ってみるが、返事はない。
さてはオットー、寝てる。
鍵はかかっていない。
ドアを勢いよく開けると、掛け布団を床に落としたまま眠る、だらしないオットーの姿があった。
ドアを開けた音で意識が覚醒したのか、うーん、とうめいたと思えば、また、すーすーと寝息をたて
始める。
困ったものだなと思いながらも、私は渋々オットーの身体を揺すりながら、声をかける。
「オットー、夕食の準備できた。起きて。みんな待ってるよ。」
強めに揺すってみるが、彼は一向に起きる気配がない。
……起きろや。
少々苛立ってきてしまったようで、心の声の口調が荒れてしまった。
危ない危ない。
口が悪いと、オットーに嫌われてしまう。
――って、そうじゃなくて。
エミリア様やロズワール様に不敬をはたらいてしまうことになる。
彼らは笑って許してくれるだろうが、私はそうはいかない。
――って、そうでもなくて！
いやそうだけど！
とにかく今は、彼を起こさなければ。
と思った瞬間、なぜか私はオットーの腕に抱き寄せられた。
突然のことに理解が遅れる。
「ちょ、オットー？どうしたのっ！？」
私が慌てて尋ねても、お昼寝中の彼は答えない。
それどころか、先程よりもさらにぎゅうぎゅうと抱きしめてきて、正直苦しい。
というかその前に恥ずかしい。
……。
バシッ！
容赦のない私の平手打ちは、オットーの頬にクリティカルヒット。
この痛みに、さすがの彼も目を覚ます。
「んー……？」
まだ寝ぼけているらしい。
全く。
「……。うあぁっっ！？」
ようやく、自身の腕の中にいる私に気がついたらしい。
「オットーが勝手に抱きしめてきたんだよ？」
私から入ったんじゃないから、と念を押すと、オットーはそうですよねえ……と呟いた。
「僕、こんな事する柄じゃないんですけどねえ。Aさん相手だと、なんだか気が抜けてしまうと言いますか……。とにかくすみません。気をつけますので」
「いや、別にいい。嫌じゃ、なかったし……。あと、怒ってるわけじゃない、よ。……とにかくっ！夕食！エミリア様にしばかれるよっ！」
「エミリア様ってそんなに野蛮なんですか！？」
私の全力の照れ隠し。
鈍感なオットーにしか通用しない、下手くそな照れ隠し。
こんなオットーに甘えている私はちょっと、いや、すごくずるい。
12話 メイド様はお怒りのようです オットーside→←10話 内政官は、すやすやと（11話の導入）
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あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です！ またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします！ (11月1日 18時) (
レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん！(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくる | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時：2023年7月2日 1時
