恋のキューピットが自販機はアリですか？【伏黒甚爾】

06話　妻子持ちでナンパですか！？（誤解は解けた） ページ6

「親父ならここでナンパしてますけど」


なんてこと無いように言ってのけるツンツン頭君。

あ、やっぱり私弄ばれてた感じですか？

割とマジでショックなんだが。


「またかよ……。甚爾さぁ、いい加減そのナンパ癖直したら？」


「へーへー善処するわ」


どうやら伏黒さんにはナンパ癖があったらしく、目隠しさんに怒られている。

対して伏黒さんはそれを適当にあしらって、聞こうともしていない。

形だけ返している返事も、きっと出任せなんだろうな……。


「直す気絶対ないでしょ」


「バレた？」


「隠す気も無いでしょ……」


怒りを超えて、呆れられてしまっているようだ。

この一瞬で、伏黒さんの評価が地に落ちるどころか地にめり込んだ。

目隠しさんの方がまだ常識という物を持っている気がする。

あとツンツン頭君は顔が普通にかっこいい。

……いや、未成年に手ぇ出すとかしないからな！？

私常識はある方だからな！？


「で、この可愛い子誰？見ない顔だけど」


さっきまで私抜きで話が進んでいたので、突然こちらに話題が飛んできて驚く。

なんで空気悪いところに私を巻き込むの！？


「あ、えと」


急に話を振られたものだから、緊張して上手く話せない。

何か言わなきゃ、何か……。


「なんか新しい自販機補充員だとよ。この前のジジイよりはよっぽどマシだな」


前の自販機補充員さんを貶しているのは解せないが、フォローしてくれたのは素直にありがたい。

伏黒さんの言葉を肯定するように、コクコクと頷いておく。


「そうでしたか。ほんと、ウチのクソ親父が迷惑かけてすみません」


「僕からも謝っとくよ。ウチのクズヒモが迷惑かけたみたいでごめんね」


「あ、いえ。……あれ、親父って」


クズヒモとか言われてるし、伏黒さんめちゃめちゃ嫌われてるんじゃ……と思っていると、

ツンツン頭君の言葉がふと引っかかった。

親父って、まさか……。


「あれ、言ってませんでしたっけ。これウチの親父です」


「え、妻子持ち……？」


妻子持ちでナンパって、メンタル図太すぎない？

ていうか伏黒さん、結構若そうに見えるんだけど。

ツンツン頭君のこと、何歳の時に作ったんですか！？


「嫁は死んでる」


「あ、なんかすみません……」


「別に」


あら、なんか微妙な空気にしちゃったわ。

きまZ(古い)


「あっ、そうだ！授業サボった分ちゃんと働いてもらうからね。

甚爾、今から一年に体術教えてきて」


おっ、ナイスアシスト目隠しさん！

不審者っぽくてもイケてるよ！

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