. ページ5
.
「ここの焼き鳥はね〜、モツがおすすめです。」
「モツ？」
「そう、珍しいでしょ。美味しいよ。」
と言いながら焼き鳥をひとしきり頼む。ここは二度目だったけれど、こじんまりとした店構えに、店内は明るく活気が溢れていて中々穴場な店だと改めて感じた。
先に飲み物が運ばれてきたので乾杯をする。
「じゃあ出鼻を挫かれた我々に乾杯」
「ふふふ、乾杯」
今日初めて笑顔を見せた彼女を見て、ふふ、と口元が緩む。ビールを飲み干しながら、夏の冷たいビールが一番最高だなんて会話をしつつ、運ばれてきた枝豆をつまむ。
お酒の趣味が合うっていいな。
そういえばこの間のブランデー飲み比べもなかなか楽しかった。
「えっと、江口さんは……」
「ん？」
「いつ頃からあのバーに通ってるんですか？」
おや。
江口さん、と呼んだ彼女を見て思わず、フッと鼻で笑う。
「…エグチさん？」
「え？」
「この間はエグチさんなんて呼ばれなかったけど」
「 …………。」
眉間に皺を寄せて固まった彼女を見て、目を細めて笑ってしまった。
まさか。覚えてないのかこの子。
あんなに拓也さん拓也さん、しまいには拓也くんなんて呼んでいたのに。じゃあなぜ江口、という苗字を覚えているのか。その時、安元さんが江口が江口がって言っていたのを思い出す。
ああ。なるほど。
全てが線で繋がって、飲み干したビールは美味かった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にくまん(プロフ) - eriiiさん» 楽しみにしてくださっててとても嬉しいです。しばらく彼視点を更新していきますのでごゆるりとお楽しみくださいませ。 (11月25日 13時) (
レス) @page25 id: 07d191a8ef (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - この展開！！本編でめちゃくちゃ気になってました！彼視点楽しみです🥰 (11月24日 19時) (レス) @page23 id: 8d69bf7036 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にくまん | 作成日時：2023年11月2日 20時
