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柔らかく重なった唇は優しい音を立てて離れていく。
突然の出来事に、彼女は完全に息を止めているようだった。手を後頭部に回して、もう一度、軽く唇を重ねる。もう一度。軽く食むように口付けて、彼女の口から小さく息が溢れた。
「好きだよ。」
彼女を見つめてハッキリとその言葉を口に出す。
俯き気味だった彼女と目が合った。
そしてさっきよりも深く唇を落とす。
優しく、優しく…
唇を何度も食むように優しく口付ける。
彼女が洋服の裾をギュッと掴んできたのに気付き、手を背中から腰に滑らせグッと自分に近づけた。
今まで散々耐えていた分、彼女を求めて止まらない。
舌はまだ入れるなよ俺…
洋服を掴んでいた小さな手が、胸をぐいぐいと押してきたのでやむなしに唇を離した。
「ん…?」
「ちょっと…もう無理です…」
頬を赤く染めてとろとろに溶けそうな彼女が小さく囁いた。
「まだ舌も入れてないのに?」
ちょっと意地悪だったかな。
ますます真っ赤になってしまった彼女を見て、愛しさが込み上げる。
「仕方ないなぁ。……おいで。」
靴を脱ぐように促して、手を引いてリビングへ誘った。ソファに座らせて水を用意してあげる。コポポポ…と水を入れながらソファでポーッとしている彼女を自然と見てしまう。自分の家の中にいることに心臓がドクンと疼いた。
水を渡すと、ゴクッと一口水を飲んだ彼女が、照れ臭そうにちらりとこちらを見たので思わず微笑んでしまった。
「今日は…別で飲み会があったんじゃないんですか?」
「うん」
「…わざわざ来てくれたんですか」
「うん。」
彼女の隣に座り、ソファにもたれ込んだ。
「いやぁ。りょうくんからあんな連絡が来ちゃったら…ねえ」
ホテルは流石に焦った。やられたわ。
この単語にこんなに爆発力があったなんて。
ん?と首を傾げている彼女に「内緒だよ。」と言いながら頭をぽんぽんと撫でた。
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にくまん(プロフ) - eriiiさん» 楽しみにしてくださっててとても嬉しいです。しばらく彼視点を更新していきますのでごゆるりとお楽しみくださいませ。 (11月25日 13時) (レス) @page25 id: 07d191a8ef (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - この展開!!本編でめちゃくちゃ気になってました!彼視点楽しみです🥰 (11月24日 19時) (レス) @page23 id: 8d69bf7036 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にくまん | 作成日時:2023年11月2日 20時