. ページ21
.
「今何飲んでるんですか?」
たまにはウイスキーベースのカクテルでも飲んでみようかと思い、カケルさんにお任せで頼んだものを嗜んでいたら彼女がこう尋ねてきた。
「んー、これはね、ゴットファーザーだったかな。」
「正解。」
カケルさんがニコリと笑う。
「ゴットファーザーって、ウイスキーでしたっけ?」
「そうだね。飲んでみる?」
「いいです。」
「何だよ。」
彼女はふいと顔を逸らす。
突っ込みつつ笑ってしまった。
「カケルさん、私もゴットファーザーください。」
「おい。」
「ふふふ。」
突っ込まれ待ちかのように彼女は微笑んだ。
グラスに口をつけた彼女は「これはなかなか、大人な味。」と呟いた。
「大人になりたい子にはお勧めです。」
「残念でした、もう私大人ですー。」
そう彼女は意地を張ってみせた。
「ふぅん。どういう意味で大人なの?」
「え?」
「ええ?」
「………え?」
少しドギマギしてる彼女の横顔が可愛くて仕方ない。
「ど、どういう意味でしょうか…」
「どういう意味だろうね…」
肘でこつんと彼女の腕に触れた。急にボッと顔が赤くなる彼女。こうやってすぐに自分の手中に抑えてしまいたくなる。
「すぐ照れちゃうくせに大人なの?」
「て、照れてないです!」
「あ、そう?」
恥ずかしいのか酔っ払っているのか彼女の目がうるんできている。ふっと笑みが溢れると、彼女はもう限界だと言わんばかりに俯いた。
先日、彼女の昔からの行きつけに思いがけず入ってしまい、彼女のことを大切に思っているその場所の雰囲気に飲まれ、彼女の前で「好きな子います。」と言ってみたのだが。目を丸くさせて驚いていた彼女は、何を思ったのだろうか。
絶対に自分のことだって分かってるくせに、何も聞いてこない。ずるいな…
「なんか二人ラブラブじゃない?」
とグラスを拭きながらこちらを見つめりょうくんが問いかけた。
「え!?」
「なんか距離近いし…Aずっと照れてるし拓也さんずっと笑ってるし…もしかして何かあった〜?」
クククと彼は目を細めて笑っている。
「な、何もない、何もないよ!」
あたふたしている彼女を見て、さらにりょうくんはニヤニヤした。
ふ。何もないことはないだろ。
そんな彼女を横目で見ながら大人のカクテルを味わった。
.
130人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にくまん(プロフ) - eriiiさん» 楽しみにしてくださっててとても嬉しいです。しばらく彼視点を更新していきますのでごゆるりとお楽しみくださいませ。 (11月25日 13時) (レス) @page25 id: 07d191a8ef (このIDを非表示/違反報告)
eriii(プロフ) - この展開!!本編でめちゃくちゃ気になってました!彼視点楽しみです🥰 (11月24日 19時) (レス) @page23 id: 8d69bf7036 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にくまん | 作成日時:2023年11月2日 20時