伍拾肆頁─潜入任務 6─ ページ16
「人質の安否は？」
『予定通りに』
「了解」
短く終わらせ再度周囲を確認する。
武器を手にする警衛の姿は幾つかあるが、異能力者らしき人物は見当たらない。
鈴奈はAを一瞥し、何も無いと判断した彼女は地を蹴り警衛へと距離を詰めた。
そのあまりの速さに一人だけ別の次元で動いているのではないかと錯覚する。
「な、何なんだお前はッ！」
次々と倒されていく仲間。
遂には彼一人のみとなり、錯乱した警衛が銃を乱れ撃つ。
しかしそれすらも鈴奈は躱した。
真後ろからの跳弾でさえ、背中に目がついているのではないかと思うほどに当たらなかった。
奇跡的に掠りかける弾も彼女に到達する前に緑の盾に防がれる。
それはAが異能で作り出した鋼鉄にも負けぬ硬度を持つ葉身。
鈴奈が前線を張り、Aが後方で援護する。
彼女達は互いに強く信頼し、糸のような信用で繋がっていた。
鈴奈の蹴りが警衛の首筋をとらえる。
躰の捻りを利用し勢いよく繰り出されたそれは意識を刈り取るのに充分過ぎる威力だった。
「よし、大変なの終わり！向こうも無事終わったみたいだね。あとは......」
奥で異能力者が力無く壁に減り込んでいるのを確認し、鈴奈は次の目的地へと目を移す。
そして彼女はにっこりと微笑む。
その先には未だに状況が理解出来ず、放心状態で床にへたり込む少女達がいた。
彼女等を此処に連れてきた人物は既に足元で事切れている。
二人はそちらへ歩いて行き、鈴奈はしゃがんで幼子に目線を合わせた。
「うんうん。そりゃあ逃げたいよね？でもね、逃げ場なんてもう何処にもないんだよ」
『御免ね。君達も例外無く殲滅対象なの』
彼女達には何の罪も無い。
ただこの場に居るという理由だけで命を奪われる。
そこに同情などと甘い考えは存在しない。
これは任務であり、首領からの命令。
普段は自由気ままに生きている二人も、この時ばかりは余計な感情を捨て任務遂行のみを求めていた。
「さようなら、向こうでは幸せにね」
鈴奈は目に涙をためて震える少女の頭に手を触れる。
そして目を閉じ、そっと離す。
三秒にも満たない僅かな時間。
たったそれだけで彼女の眼下にあるそれが二度と動くことはなかった。
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煉華(プロフ) - あきさん» あきさん、ありがとうございます！久しぶりすぎてどうかなと思ったのですが、アニメ放送開始したからか見てくださる人が多くて安心しました。頑張ります(^^*) (2023年1月27日 21時) (
レス) id: 4710ee5a2a (このIDを非表示/違反報告)
あき - 続編おめでとうございます！ちょうど先週辺りから読み始めたのでタイミングが良かったです笑これからも頑張ってください。 (2023年1月26日 21時) (レス) id: 3fb64841ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煉華 | 作成日時：2023年1月26日 20時
