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side yuya
慧「さっきまで由愛もいたんだけどさ…。遅いから帰らせたとこ。」
深夜。
家を飛び出て会館に着くと、外で伊野尾君が待っててくれた。
ロビーの会場案内に翠の名前を見付け、血の気が引いた。
慧「明日が通夜式。今日はまだ控室で寝てるんだ。」
昇っていくエレベーターの中、黙り込む俺に淡々と伊野尾君が説明してくる。
慧「母さん、ぶっ倒れちゃって…しばらく奥の部屋にいたんだけど、父さんが一旦家に連れて帰ったよ。」
そんな話をしてたら控室に着いた。
靴を脱ぎ、戸を開けたら…
「…翠…。」
部屋の奥、翠が横たわってるのが目に入った。
.
今にも目を開け、動き出しそうな翠。
だけどもう冷たくなってる。
慧「…高木…お前、やっぱりケガひどかったんじゃん。折れてたの?」
「あ…ああ。」
派手にケガしたのは俺。
だけど、ただの擦り傷で済んだように見えた翠が…。
慧「ごめんね、高木。」
「うっ…。」
とてもじゃないけど、普通でいられない。
自由な右手で翠の髪を撫で、泣いた。
慧「…ホントはね、翠…今日、高木に謝るはずだったんだ。」
俺だって、謝るつもりだった。
なのに、こんな…。
.
.
慧「…もう、帰んなよ。朝になる。」
しつこく翠の傍を離れない俺に、伊野尾君が声をかけた。
慧「今日は会館の人が見ててくれるんだ。明日は父さんたちがここに泊まるし。」
「…分かったよ…。」
促され、立ち上がる。
体も心も酷く痛めつけられ、ちょっとの動作だって体が重くて言う事を聞かない。
慧「…明後日、試験じゃん。」
「…うん。」
もう、そんな事なんて頭から消えてた。
慧「頑張って。」
何だろ…もう、どうでもいい。
周りからいくら無謀だって言われても、希望を持って突き進んでたのがウソみたい。
「明日、また来るから。」
慧「…ありがとう。」
一足先に帰る俺を、伊野尾君が見送ってくれた。
さっきまであんなに落ち着いてたのに…
会館を出て振り返ると、ガラス窓から見えた伊野尾君が泣いていた。
.
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きょんふぁ(プロフ) - みるみるみるきーさん» 姐さんあけおめでございます!何も考えずにつけたお名前でしたが、なるほど甲本さん…(笑)翔君と同期の設定なので、若めに変換して読み進めてくださいませ。続編の準備が出来ましたので引き続きおつきあいください。2は初っ端から…やばば( ;∀;) (2018年1月3日 18時) (レス) id: 782f9227dc (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - あうぅーー。なに?どうなるの?!え?甲本はなにするの?!やーばい、やばい。あの甲本さんが浮かんでるるる。こないだ金八先生見たばっかだからーー。 (2018年1月3日 0時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
きょんふぁ(プロフ) - ヨウコさん» ヨウコさんの絶叫ゲット(笑)先は長いので程々に…(;´Д`)もうパス復活のタイミングが分かんなくなってきてるとこです☆どうにでもなれ〜い(笑) (2017年12月28日 15時) (レス) id: cb24d66707 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウコ(プロフ) - うわぁぁぁ!そうきたかーー!やっぱりきょんふぁさまのとこには私叫び声をあげるんですねー!うおーーー!何をどういったらいいかわからないーー(>_<) …はあはあはあ…沼ですかそうですか。私またどなたかと手を繋いで震えながら読み進めないとだめですね… (2017年12月27日 18時) (レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
きょんふぁ(プロフ) - みるみるみるきーさん» 姐さんに好きと言ってもらえて嬉しい(*´▽`)でもこの先沼が待ってます。どうか引かれませんように(笑) (2017年12月27日 17時) (レス) id: fd52a08e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京華 | 作成日時:2017年11月27日 22時