Damage

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side yuya



伊野尾君達が帰ってって、また俺と翠の2人きり。


翠がいつものように、俺のポケットからタバコを抜き取ろうとする。




「ダメ。」


翠「何で？」


「伊野尾君と約束したから。翠にタバコ吸わさないって。」



翠の手首を掴んでポケットから離す。

不服そうな顔して俺を見上げ、大きくため息をついた。





「見付かったら俺みたいになっちゃう。」


翠「…退学？」


「そう。それから、早退して俺に会いに来てるらしいじゃん。もう、そーゆーのもナシね。」


翠「何？さっきのあの短い時間に慧が色々文句言ってきたんだ？」


「文句じゃなくって…心配してるんだって。」





俺みたいなやつと妹が付き合ってるって、きっと相当心配だろう。


元々素行不良だったんだ。
思い出したように弾けたら困るって思ってるはず。


前髪から少し覗く眉間にしわを寄せた伊野尾君の顔が頭に浮かんだ。

そう、俺が文化祭でタバコ吸ってたのを見た時の顔。





翠「そっか…そんな話してたんだ。だから慧、気分が…。」



言いかけて止め、うつむいた。

しばらくしたら続きを言い始めるかと思って待ってたけど、何も言わないままでじっとしてる。





「伊野尾君が思い出して気分が悪くなるほど困らせたの？」



タバコがバレての大騒動なら俺だって経験済みだ。

親が慌てて家の中がぐっちゃぐちゃになったんだろうって簡単に想像がつく。


だけど…それを思い出して、あんなに気分が悪くなったりすんの？






翠「…。」


相変わらずうつむいたままの翠。

自分の足元をじっと見つめたまま動かない。




「翠？」


翠「…あーっ！私も学校辞めちゃおうかなー…。」


「は？」



俺の呼びかけに急に反応。

いきなり立ち上がり、両手を上に大きく背伸びした。




ニコッと笑って俺の方に向き直る。





翠「辞めて、雄也と一緒に暮らしたいな。」


「…何言ってんの？」




唐突すぎる翠の言葉に戸惑う。





翠「私とずっと一緒にいて、雄也。」








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