Damage

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side yuya




久し振りにウチに翠が来た。

しばらく会ってなかったから、どんな顔して会えばいいのかなんて心配してたけど、翠は至って普通に俺の部屋で過ごしてる。






翠「試験、いつ？」


「来週。2年の内容だからってナメてたけど、やってみたら難しいんだよね。俺、あんまり真剣に授業受けてなかったからさ。」




何となく、話題が俺の編入試験の事でホッとしてる。

これからの事とか…話を振られたらどうしようって思ってたから。




卓上カレンダーの赤丸は伊野尾君がサインペンで書いたもの。

編入試験の日だ。



それを翠がじっと見てる。







翠「ねえ。慧は、ここでどう過ごしてるの？」


「えっ！？」




俺の反応にちょっと疑問な顔したけど、すぐに笑った。




翠「えっ？って何。ちゃんと雄也の勉強見てるの？ダラダラお菓子食べたり寝たりとかしてない？」


「あ…ああ。そんな感じ、いつも。」





やりにくいな。

翠と、伊野尾君の話をするって。



理由があってここに呼んでるんだって、別に責められてる訳じゃないのに何度も心の中で思った。


それが…多分、顔に出てたんだ。









.








段々と、翠の様子が変わってった。

部屋に入ってきた時の顔と違う。



笑ってるんだけど、変に力が入ってるのが見て取れる。





翠「慧は昔っから、自分でわざわざ目立たないところに居ようとするんだよね…。」



翠の口から語られる、伊野尾君の話。


興味はあるけど、このまま聞いてていいのかって不安が襲ってくる。




そんな俺の気持ちをよそに、翠は膝を抱えたまま淡々と話し続ける。





翠「気のせいかも知れないけど…慧って昔っから何でも欲しいもの手に入れてると思うんだ。」



初めて会った文化祭で、楽しそうに話してきた双子エピソードとは全く別物。






翠「多分本人は気付いてないけどね。黙ってても、勝手に何とかなってる。友達だって特別多くはないけど普通にいるし、勉強だってそんなに必死にならなくったっていつも上位に入ってるし。」




妬みとか、そんなつもりはないんだろう。


だけど…




翠「私はいつも必死だったんだ。目立たなきゃって。皆に興味持ってもらいたいって。…もちろん、雄也にも好きになってもらいたくて。」









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