Damage

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side kei




外泊こそしないけど、家で過ごす時間が少なくなっていく翠。


文化祭での翠の活躍を目の当たりにしたり、由愛っていう真面目な友達がいるからって、父さんも母さんもさほど心配はしてないみたいだ。






土曜日、朝早くから出かけてった翠。

その後遅れる事3時間、俺も由愛との待ち合わせ場所へと出かけた。


本屋デートは飽きない。
2人で出かけると言えば、大抵こうなる。


だけど、ちょっとづつ変わってきてるのは、俺達の距離感。

前なら到着したらすぐに別行動だったけど、今じゃ同じ本を一緒に開けての会話が楽しんでる。



由愛が開けてるのは旅行ガイドブック。

現実的に今すぐ行けるところじゃない遠くの国に想いを馳せ、由愛の”もしも”話に付き合う。





由愛「ねえねえ、楽しそうじゃない？私と慧、翠と彼氏でさー…。」



そう言いながら、綺麗な街並みが写ったページを指でなぞる。

”翠と彼氏”…女の子は別カップルと一緒にどこかに行きたいんだろうか。



俺は…ムリかな。

しかも翠とか…兄妹でそんなのって、ちょっと…。


それに翠が俺達にお節介焼くのが目に見えてる。







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油断、してた。


由愛の妄想はいつの間にかストップしてて、俺の気付かないうちに翠と連絡を取ってた。




「何でだよ。別に一緒じゃなくていいじゃん。」



4人で遊ぶって、すぐにでも出来るって気付いてしまったらしい。



思いついたらすぐ連絡。

翠も快諾したらしい。


あの時のあいつも。






由愛「翠の彼氏、本物見てみたいんだ。写メ見せてきて、カッコいいって毎日言ってるから。」


「…ああ。」


由愛「慧、見た事ある？」





文化祭で見たあいつ。


長めの茶色い髪がサラサラしてた。

シンプルでどうって事ない格好なはずなんだけど、どこかオシャレに見えて…。


どちらかと言うと身なりに無頓着な俺は、あいつのそーゆー雰囲気に勝手に大学生なのかなって思ってたけど、翠が言うにはたった1歳違い。

成人だとは思ってなかったけど、高校生じゃんって拍子抜けしたんだ。




由愛「あっ…。別に、翠の彼氏が気になってるとか、そーゆーんじゃないから！」


「うん。」


由愛「ごめん…何か…。」




怒った顔してたんだな、俺。

由愛が翠の彼氏に会いたがってる事に腹立ててる訳じゃない。



そうじゃなくって…。



何で、今からそいつと合流しなきゃならないんだって、そっちにムカついてるんだ。









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