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弐佰伍拾頁─奇妙ナ男─ ページ24

「最近また無名(むな)の連中が暴れだしたんだってねぇ」

「そうみたいですね。先刻、特務課から連絡が来てましたし......」




連日、探偵社の朝は忙しい。

そして今日はいつにも増して忙しく、社内は騒がしかった。

少なくとも新人社員に銀行への手続きを頼むほどには。




「敦、悪いがこれを銀行まで届けてきてくれないか?」

「え、僕一人でですか...?」

「心配ならAを連れて行け。何かと助けてくれるだろう」




A!、と名前を呼ぶ国木田の張った声が探偵社に響く。

彼女はカタカタとパソコンのキーボードを打っていた手を止め、のっそりと怠そうに声のする方を振り向いた。

その顔は実に名残惜しそうで何かの狭間で揺れているようだった。




『...大まかな話は聞いていたので大丈夫ですが少し待ってください。先にこれを終わらせます』




そう云い作業を再開するAのパソコン画面を、国木田は僅かな疑問を抱きながら覗き込んだ。

その直後、彼は目を丸くさせた。




「お前、この短時間でここまで済ませたのか!?」




有り得ないといった表情を浮かべる国木田に続き敦も画面に目を向ける。

そして彼も同じく静かに驚きの声をもらした。




「す、凄い...」

『そこまで驚かれるとは思わなかったんですけど......これでも遅い方ですよ、私の中では』




彼女のその言葉に更に驚く国木田と敦。

正式に社員として仕事をこなすAの作業速度は、以前と比べ物にならない程に早かった。


そして数分後。

普通であれば一時間以上、慣れた者でも五十分はかかる書類を彼女は約四十分で終わらせた。

手を組んで躰を伸ばし、気持ちよさそうにゆっくりと指を解く。




『さてと。それじゃあ敦君、銀行に行くよ』

「は、はい!」




たった今信じられない早さで終了した目の前の光景に戸惑いながらも元気な声で返事をする敦に、Aは満足そうに微笑んで探偵社を後にした。


国木田の開いた口が塞がらない中、社内では小さな拍手が巻き起こったとか。

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ラッキーカラー

あずきいろ


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰 , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:煉華 | 作成日時:2023年1月26日 23時

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