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「藤本が燐くんへ与えた神隠しの鍵。
あれは持ち主を本当に必要な場所へ導く万能鍵(マスターキー)
それが、燐くんを過去へと導いた。
つまり燐くんには必要だったんですよ。
己が産まれた日の、真実を知る必要が」



神隠しの鍵、それは確か父さんが亡くなったあの日父さんが燐へ渡していた鍵



「何も与えられなかった私には何の資格もないって言いたいわけね」

「…雪男くんもまた、己の生まれを知りたがっていました。
だから私は何度も彼に過去を見せられないか試したんですけど、彼には過去を見せることが出来ませんでした。
それは、彼に必要なのは『過去』ではないということ」

「!」

「藤本はそれを理解していたんでしょうねぇ。
あれも馬鹿ですけど地頭は悪くないですから。
そして、そんな藤本はあれを貴女に与えようとはしなかった」



その理由が分かりますか?とメフィストは尋ねてきた
私はわからなくて、首を横に振った



「彼、いつも言っていましたよ。
『Aには、悪魔なんか知らずに、ただ普通に、普通の女として幸せに生きて欲しい』と」

「!!」

「『いつか一緒にバージンロードなんて歩いて、幸せに笑う娘が見たいんだ』」

「………」

「藤本はそんな夢物語を語っていました。
ブッ、アヒャヒャヒャヒャ!あー、今思い出しても笑えます。
有り得るわけがないじゃないですか。
サタンの娘があの世界で普通の女として生きていけるわけが!」



事実貴女はあの世界で生きていくことは不可能だったんですしね?と言ってくるメフィストに私は返す言葉はなかった



「生まれた瞬間から魔神の落胤として大罪を犯し、その体に流れる血のせいで世界中の人間から恨まれ、恐れられ、死ぬことを望まれる貴女が。
本当藤本は馬鹿ですよ。
しかしそれがまた彼の面白いところでもありました」



コイツのいうことは、全てその通りだ
でもただ、父さんのそんな夢を、何一つ叶えてやれなかったことへの後悔に襲われる



「ククッ…そして彼は本当に、貴女たち三つ子には甘かった。
血も涙もないだの冷酷、冷血なんて言われ恐れられてた彼が。
そんな彼が何より、一番甘やかしていたのは貴女ですよAさん」

「!」

「彼は、娘であった貴女を特に愛していました。
だからこそ愚かにも…
無理だとわかりながら、願っていたんです。
貴女に悪魔として生きず、世界のどこかでひっそりと小さな幸せを掴んで生きることを」



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(プロフ) - 名無し13705号さん» ありがとうございます!更新頑張りますね^^* (2020年7月7日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みおさん» たまには青エクの話入れないとクロスオーバーにならないと思いまして笑 泣き止んでくださいな笑笑 (2020年7月7日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
名無し13705号(プロフ) - 今後の展開楽しみです!体に気をつけて頑張ってください!更新待ってます! (2020年7月6日 23時) (レス) id: 33de3eef08 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 獅郎のことが出てきて、最近の話も出てきて、もう泣きそうです!嘘です、泣いてます…!! (2020年7月6日 18時) (レス) id: e5923a196b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 哭狼さん» いえいえ、お気になさらず!大丈夫ですよ(*^^*) きっとこうしてヒロインは事実上の奥さんになっていくんでしょうかね笑 (2020年7月2日 16時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年6月30日 17時

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