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六話 ページ7
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なかなか目に溜まる涙は止まることを知らないようで、まだ頬を滴り落ちる。
抗争が始まってどれぐらいたったのだろうか。
否、まだ抗争が終わる気配などまっさらないが、…。
帰りたい…。
また孤独のなかに逃げようか、
否、違う、溶けようか…、そっちのほうがあっている気がする。
意識を朦朧とさせたまま、何分がたっただろうか。
薄目で辺りを見てみた。
鳴り止まぬ銃撃の音、耳をつんざく悲鳴、頭が痛くなる。
視界が眩む。
「大丈夫かい？」
「っ……？！」
見上げた先は主人公、中島敦の姿があった。
けれど、話し方、雰囲気が何処と無く親友そのものだった。
だとしたら、彼、否彼女がいるべき場所ではない。
「………今は抗争中だ」
「芥川龍之介の口調に似せてるの？凄いね」
伊達に芥川龍之介になって9年経っている…。
自然と染み付いていたのだろう。
「また会えて嬉しいよ、
───雪」
親友に呼ばれる名前は、僕がここにいることを実感させてくれ、孤独から救いだしてくれた。
僕も、君の名前を呼ぼう。
「僕も会えて嬉しい………
───雫」
つい、久しぶりに彼女の名前を言ってしまったため、気が緩み、口角が上がってしまったのは…、
雫が僕の親友だからだろう。
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作者名：雨川秋 | 作成日時：2023年10月24日 0時
