一話 ページ2
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冷たい床で目を覚ました。
目を開けない状態で辺りを手で探る。
数分くらい経っただろうか。違和感に目が開かれた。
「………ん?」
生きてる。………否何故。
僕は死んだ筈だ。否、死んだときの事は覚えていないが………。
覚えているのは親友と心中したこと位だ。
……何故僕は目を開けられているんだ。
可笑しい、可笑しすぎる。
もしや天国なのだろうか。天国の床はこんなにも冷たいのか?
いや違うだろう普通に考えて。矢張り何かしらの理由で生きている……?
漫画やアニメで良くある、異世界転生と云う奴か………?
「凄いね、直ぐ分かるなんて…!
其の通りだよ! 君は異世界転生して、僕に成ったんだ」
「へぇー、こんな仮説が当たるとは………。其れで、君誰?」
漫画等でしかあり得ないと思っていた急な会話乱入。
何故だか、全く違和感がない。
そして此の声は良く聞いたことがある。
「僕は"中島敦"。君の体の、元持ち主、かな?」
矢張り、主人公か。
「………成程、帰る方法を探さなきゃね」
僕の体の元持ち主………。
転生。しかも成り代わり。
―――物騒な世界で生きるなんてごめんだ。
帰る方法を見付けて、平和に生きよう―――
「僕、面倒なのも物騒なのも嫌いなんだけど、嗚呼でも、文ストの世界だしいっか………。」
―――そういえば、彼奴は如何しているんだろう。
若しかして、一緒に転生でもしたのだろうか―――
彼奴は芥川にでも成り代わっていそうだ。
―――そうなると、少々楽しみになってくる。
………そうだな、折角だし主人公らしく一言云うとしよう。
"僕は此の世界で親友を見つけ出し、平和に生きる"
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作者名:雨川秋 | 作成日時:2023年10月24日 0時