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「今でも起きているということは…冬の仕事でもしに来たのか？」
「はぁ…そう、なのかな。今年の冬は全然眠たくなくって…」曖昧に答えるフォスフォフィライトに、未だ金剛の傍らに佇む透明なアンタークチサイトは、如何にも苦虫を噛み潰したような顔をして、薄荷色の踊る指先を弄ぶ若輩を見やった。だが、たった一瞬のその表情は見る間に改められ、背を丸める新人に向かい「付いてこい」と顎で指図した。
前を訓練された軍人のように歩行するアンタークチサイトという生の先駆者は、黙って彼の後を着いていくフォスフォフィライトに向かって、背中の向こうから語った。
「お前が今年冬眠をせずに、こちらが仕事をせがまれる事は予め先生から伝言を受けていた。正確に言えば、アクロアイトからだがな。お前の動向を予見して彼奴が先生に伝言を託して、それで今日私の耳に入ったという訳だ。それで、そうなった理由は本人から聞けとも預かっている」
アンタークチサイトの言葉にアクロらしいと、得心がいったように頷いて、薄荷色の髪の新人は、透明な冬担当の彼の横を驚くほどに速くなった自らの足で駆け抜けた。老輩に教えられたように、足を止め後ろを振り返ると、当人は少し驚いた顔をしてからいつもの無表情に入り浸った。
「その足、アゲートか」
見事に言い当てた彼にフォスフォフィライトは苦笑を浮かべた。
「いやぁ、実は今年はいっぱいヘマしちゃってさ、足は失くしちゃうし、やつぱり僕なんかがアクロのことを助けることはできなくて。沢山怒られたから、僕もっと強くならなくちゃいけない、怒ってくれたから。でも……そう、なんだ。アクロが僕のことそこまで考えて、あいつ、眠ってる時でも僕を助けてくれるんだ」
「甘えすぎだな」
「もー、分かってるってば」新入りは項垂れて、横を過ぎ去って、再び前を歩くアンタークチサイトの背中を見据えた。透明な髪に爪と瞳、白い肌、そして、白い服。とぼとぼと彼の後を追う新人は、彼専用に仕立てられたその服をじっと観察して、徐に開口した。
「その服、アクロが着たらきっと似合うだろうな…。ねぇ、アンタークってさ、アクロに似てるーって言われたことってない？」
透明な眉の間に、僅かな力身が生まれた。空気の一変に新人は歩幅を縮める。前進者の規則正しかった歩調も微かに乱れ、それに呼応するかのように、真冬の冷ややかな風が二人の元に吹き付けた。
「前に…似たようなことを言った奴がいる」
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
