恋風乱舞 2nd【ars M.A】 (ページ14)

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49.イイ・ユメ。ページ14

あちゃー、寝ちゃってる。

早く戻って来たつもりだったんだけどなぁ。

「フフッ、疲れたもんね」

暑い日に外に出掛けてただけでも疲れるのに海で遊んで、えっちして、そりゃ疲れるよね。

俺もベッドに寝そべって、Aちゃんの寝顔を見る。

そう言えば、君の寝顔を見るのは初めてかも。

付き合ったばっかりの頃、放課後教室で寝てるAちゃんのほっぺをつついたりしたけど、あれ狸寝入りだったし。
あの時、可愛いコトするなーって思ったんだよ。

「好き」って言われるまで絶対にチューしないって決めてたのに、あの時はヤバかった。

狸寝入りしてる君に、気付いてない振りしてチューしちゃおうかなってかなり俺、葛藤したんだよ？

そっと、Aちゃんの身体の下に腕を滑り込ませて

胸にギュッと抱き寄せた。

クークー、規則正しい寝息。
寝息まで可愛いとか、思っちゃう。
病気じゃない？俺。恋の病。

「2回戦したかったのになー」

抱きしめたAちゃんの頭のてっぺんに口を寄せて、ボソボソ言ってみる。

「寝ちゃうんだもんなー」

Aちゃんの身体がモゾモゾ。

あ、起きるかな？って思ったら、Aちゃんの両腕が俺の背中に回って

ギュウって抱きついてきた。

「......おっ...」

起きてる？
え？でも、寝息のリズムは変わってないし...

「寝てる...？」

何の返事も無い。

「やっぱ寝てるか」

早く戻って来てって言ったくせに、寝ちゃってる。

「ワガママさんだねぇ」

でも、そんなのだって愛しくて

他の男にワガママ言っちゃダメだよ！って思って

何だったら、このまま俺の腕の中に閉じ込めときたいなんて思うんだ。

Aちゃんの寝息を聴いてると、俺も眠たくなってきて

初めての夜は、『寝かさない』じゃなくて『君を抱いて眠る』に決定。

だけど、それも初めての事。

良い夢、見れそう。
夢でも君に、会いたい。

・

目を開いたら、目の前に何だか申し訳無さそうな顔で俺を見てるAちゃん。

チュンチュンなんて、小鳥が爽やかに囀ってる。
...って事は、朝か。

「おはよ...Aちゃん」
「先輩...あの、ごめんなさい...私、寝ちゃって...」
「んーん、疲れてたもんね」

ごめんなさい、って俺にギューって抱き着くAちゃん。

「じゃ、お詫びに俺のワガママも聞いてくれる？」
「ワガママ...？」
「朝ご飯はAちゃんが良いなぁ」
「えっ！？」
「いただきます」

寝起きのオオカミは腹ペコなんだからね。