百三十一 ページ31
ーーーーーーーーーーー
総悟くんからの告白を受けそれを断って一週間、右目の包帯が取れた。
久しぶりの太陽の光に目を細めた。
『…蓮、ありがとう』
数日前、私は手術を受けた。
なんでも蓮が全ての臓器の提供をしていたのらしい、それも私宛にと。
事前に私と合うかどうか検査をしていてくれたみたいで合った場合は全て私にと病院にお願いしていた。
そのお陰で、私の目は回復した。
(ーーー…また、助けられちゃったね)
最後まで粋なことするな、と笑みがこぼれた。
ふわりと風が吹く、そこに知った匂いが混ざる。
窓の外からそちらへ目をやれば幾日か振りの顔が扉に寄りかかっていた。
「…具合はどうだ」
『まぁまぁかな』
「そーかよ」
紫煙を吐き出しながら椅子へ座るが視線はこちらへ向かない。気まずいとか思ってるのかな?……何を考えてるのかわからない。
溜息を一つ落とす。
「悪かった、来れなくて」
『忙しかったんでしょ?総悟くんに聞いた』
「まァそれもそうなんだが…その…」
『まーた責めてたんでしょ?』
図星だったのかがたん、と椅子が揺れた音がした。それに吹き出せば舌打ちが落とされる。
やっぱり思ってた通りだった。そんなに気にすることじゃないのは明白なのに、どう考えても私の自己責任なのになぜこんな顔をするのか。
上司の責任ってやつなのか、それとも別の何かなのか。
彼の方へ視線を戻せばバッチリと目が合う。
『今回は私の単独行動のせいだから責めることない』
「だけどな」
『だけどもクソもない』
私と兄様の問題だと勝手に走ったのが悪い、それでいいでしょと押し切るように言えば難しそうな顔をしながらも納得はしてくれたのか頷いた。
それに笑えば十四郎ちゃんも柔らかく笑った。
129人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月13日 21時