百二十四 side-T ページ24
ーーー土方side
「オイ、総悟。てめェ今日書類作業だろーが」
「昼休憩でさァ」
「その昼休憩は夕方まで続くのか?あァ?」
仕事を粗方片してから病室に顔を出せばうちの問題児が一人。
「遅ェじゃねーですか」と言うソイツの頭を殴る。…誰の所為でこっちはこの時間まで書類とにらめっこしてたと思ってんだ。
他人事だと思ってることに腹は立つが舌打ちと共にそれは吐き出した。
煙草を取り出して火をつける。
「土方さん」
「ンだよ」
「俺ァAが好きでさァ」
驚きがなかった、と言えば嘘になるがそんな気は何処かしていた。総悟のAの気遣い方は他とは比べもんにならねェ。いや、比べんのも違ェか。
そう言えるくらい態度にゃ出ていた。が、それをコイツが俺に言うってのが理解できねェ。
( コイツ、何考えてんだ )
何も言わない俺に痺れを切らしたのか斬るぞなんて物騒な言葉が飛び出す。
「意味わかんねェよ、つかお前が好きな事くらい分かってらァ」
「だと思いやしたよ。だってアンタもそうなんでしょ?」
「……は?」
「あり、気付いてねェのかィ」
総悟の言いたいことが分からねェなんざいうつもりはない。だがこれは認めて落ちるような問いじゃねェ。
(……俺んとこに居たってAは…)
第一それがコイツの言う感情なのかもイマイチわかってない。ーー認めるのはなんだか違う気がした。
それに俺は決めたはずだ、もうあんな感情は御免だと。……だがまたその類のものを自覚し始めていたりもする。
「また姉上と同じことするんですかィ」
見て見ぬ振り決め込んでと続けた総悟の眼光は鋭く逃げるように逸らしてしまった。
ミツバの名前が出てくるとは思っちゃいなかった。…が
(ーー…同じこと、か)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月13日 21時