・三十三 ページ34
女将 「お前は抗う覚悟があるか?」
私を抱き締めながらそう問う女将
貴方 「覚悟、」
女将 「そう、覚悟」
顔をあげれば女将は優しく微笑んでこちらを見ていて
とても美しく見えた
女将 「もし、抗うのならば
お前は命をかけなければならない
それでも抗う覚悟があるか?」
命________________
それはまだ二十程しか生きていない小娘の私にはあまりに重く
なんの想像出来ないものだった
貴方 「それは、どういう意味でござんす?」
女将 「身請けを蹴ってまで伊野尾慧の所に行きたいなら
もう逃げるしかないんだよ」
貴方 「ここから抜け出すということですか?」
そう問えば女将は静かに首を縦に振った
女将 「でも当主に見つかれば首が飛ぶやもしれん」
女将 「それでもあ奴の所に行きたいか?」
それはやっぱり今の私には重すぎる決断だった
ここでその覚悟を持って慧様の所へ行ったところで
もう慧様には婚約者もいる
貴方 「それは、」
女将 「ただひとつ言おう
ここに来てしまえば買われ続ける運命
今のお前みたいに好きでは無い者に買われ、満足のしない人生を終えることも多い
ただ、人生は一度きりじゃ
進む道は自分で決める
人間は運命に抗うことが出来るのだから」
貴方 「抗う、、、」
“ 心からこの人といたいと思う人が出来たなら
抗って、抗い続けて
それを勝ち取りなさい ”
女将 「そう、
お前が望むならば
それならばお前は
我儘に美しく生きなさい」
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時