・十四 ページ15
あの後すぐに帰っていった慧様は女将に急な仕事が入ったと嘘をついて出ていってくれたので
私が説教を受けることは無かった
何事もなく平和で
変わらずどこの誰かもわからない人と一夜を戯れる
吐息を鳴かせるけれど
心は痛くて
ふとあの夜を思い出すことが多くなった
貴方 「左衛門様、またおいでおくんなし」
左衛門 「あぁ、また今度
次は他の客なんか入れるなよ?」
貴方 「ほんとに申し訳ありんした
またお待ちしております」
もう来なくていいのに
「A姉さん!」
貴方 「小梅、何かあったのかい?」
小梅 「いえ!
いや、えっと」
貴方 「ふふふ、なんだい」
小梅 「あ、あの!庭を通ったら何故か一輪だけ菫が咲いていたでありんす」
貴方 「え、」
そう言って恐る恐る両手で持った菫を私に渡す
貴方 「つんだの?」
小梅 「本当はお花、大事にした方がいいのはわかってるんでありんす
でもこの花見たらA姉さん、元気になるかなって思いんして、、、」
“ 見てください!綺麗でありんす ”
“ こらぁ!お花を簡単につむんじゃないの!
水が無かったら枯れちゃうのよ? ”
“ すみません、 ”
“ でも、、、ほんとに綺麗ね ”
貴方 「っ、!
ほんとに、、、
綺麗ね」
小梅 「え、?」
貴方 「部屋にでも飾ろうか」
小梅 「っ!!!!
はいっ!!!」
・
・
花は綺麗で
小梅 「A姉さん!
お見えになりんした」
私の心を癒していく
貴方 「ふふふ、お通しして」
あの頃を思い出す、とても
美しい記憶
「A!!!」
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作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時