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あれは私がまだ十五の時
私が禿のころから面倒を見てくれたのが
貴方 「菫さん!」
すみれ
それはこの遊郭で1番の売れっ子であった花魁
菫 「なんだい、騒がしいのう、A」
貴方 「これ薮様からの頂き物でありんす」
菫 「そうかそうか、
Aも、少しお食べんさい」
貴方 「ありがとうございます!」
・
菫さんは本当に美しくて
優しくて
私にとって自慢の姉だった
菫 「宏太様!」
宏太 「菫、久しぶり」
その時菫さんが密かに想いを寄せていたのが薮様で
きっと薮様も菫さんのことを思っていた
薮様は私にも優しくて
とても気さくな方で
きっと菫さんが身請けをするのも時間の問題だと思っていた
菫さんはよく私に
菫 「A、女は我儘に生きんさい」
そう言ってくることが多かった
そういう菫さんの顔はどの花魁より強く
美しく、華やかで
紅を塗る姿は誰にも負けることを知らなかった
そんな菫さんを女将は大切に扱ったし
サバサバした性格であったため
他の花魁からも慕われてきた
花魁として客の前に立つ菫さんは
私の憧れだった
そんな菫さんでもやはり薮様の前では
どこかかわいらしくて
それさえも男女限らず虜にしていった
私は大切な二人が二人で幸せになればいい
そう願っていた
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作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時