7話 ページ8
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授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響くと、生徒は一斉に椅子から起ち上がり、おのおののペースで教室から退出し出す。
俺も、ドアから出てから、はたと先程拾った猫のストラップを思い出した。
さて、あれはどうしようか。
歩きながら、考える。
気が付いたときには俺はあの時の廊下に立っていた。
ここに戻してしまおうか。
いつもの俺なら、知らん顔して、落とした風を装って、その辺に捨ててしまうだろう。
けど、なんだか今日はそんな気分にはなれなくて。
面倒だし、意味もないけど。
俺はくるりと方向転換して、職員室へ向かった。
「もしかして、これ？」
ひとつひとつ、丁寧にお届け物ボックスを確認する女の子に、俺は話しかけた。ぱっ、と振り向いた女の子は、間違いなく見覚えのある顔だった。
あー、さっきのか。
騒がしく歩いていた、女子の集団を思い出す。
「え、と…？」
「あ、ごめんなさい。これ、落としたかなと思って」
「あーっ！これ、私のです！」
彼女は一度、俺の足元をチラリと見た後に、その手に握られているストラップに気がついたようだった。
「す、すいません！これ、ありがとうございました！」
先輩の前で大声を出して失礼な態度をとってしまったのが恥ずかしかったのだろうか。女の子は顔を赤らめながら、俺の手からストラップを奪い取ると、逃げるようにその場から立ち去ってしまった。
「何だったんだ、あの子」
ぽつんと一人取り残された俺は、頭にはてなを浮かべて呟く。
不思議な子だ。
「……名前、なんて言うんだろ」
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作者名：Ir | 作者ホームページ：http://manaaa
作成日時：2022年12月29日 21時
