【オリジナル】後輩君と転校生【派生/合作】 (ページ38)

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Episode16「真実と葛藤」【望月綾萠】ページ38

それから、ぼくはぼーっとして過ごすことが多くなった。
何事にも力が入らず、常に心ここに在らずという感じで、山田にも何度か心配された。

今日、朝起きた時も頭がどこかぼーっとして、

何か、悪い予感がして、

『...“私の蒼飛”、か。』

誰もいない家で、ぽつりと呟いている

名前呼び。幼馴染というから、随分と長い付き合いなのだろう。
蒼飛くんも嫌がっている様子は見せなかった。

やはり、自分に恋というものは向いてないな、と、自嘲的な笑みを溢す。

その時、不意に玄関の方でチャイムがなった。

『あ、はーい』
彼方さんがまた変なものでも買ったのかと判子を持って玄関に出る

ぼくの予想に反して、そこに立っていたのは男女一組だった。

『えっと....』
「急に押しかけてすまなかったね、“望月綾萠”というのは誰だろうか？」
『あ、え、自分、ですが....』

そう答えると、美人な人が「えっ」と、溢す
というか、この2人誰だ

『取り敢えず中はどうぞ...』

玄関で立ち話も何だしと2人を家の中に招き入れ、お茶を出す。

一息ついたところで、男性は早速本題に移った

「早速本題に入らせてもらおう

＿＿＿君には悪いが、蒼飛君のことは諦めて欲しい」

『、え』

一瞬、何を言われたのか理解できなかった

「蒼飛君には将来、うちの会社を継いでもらいたいと思っていてね、
だから、将来的には夜と結婚して欲しいんだよ

だから、わかるね？」

「貴方があきらめてくれるだけで、大勢の人が幸せになるの」

2人はまるで、“ぼくが諦めて当然”みたいな体で話を進める。

....何だそれ、何でぼくが、
そう思うのに、言葉は出てこない

2人は、自分たちが言いたいことだけ言うと満足して帰っていった。
最後に念を押すのを忘れずに。

その後、何もする気になれずぼくはベットに倒れ込む。

『...ほんと、笑える、』

飛びっきり意地悪な神様が1人いて、ぼくにずーっとついて回っているんだと思う、

涙はもう枯れきって、ただただ虚しい気持ちだけがぼくの胸中に巣食った