【オリジナル】後輩君と転校生【派生/合作】 (ページ20)

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Episode9「高体連」【月城蒼飛】ページ20

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それから2週間が経ったこの日、高体連がある。

俺はこの日の為に、頑張って練習して来た。

「よぉ月城」

『…あ、優馬先輩』

俺に話しかけて来たのは、北森優馬先輩。

優馬先輩は3年で、どうやら綾萠先輩のクラスメイトらしい。

『(そういえばあの時、綾萠先輩と仲良く話していたのって…優馬先輩?)』

あの時は感情が色々込み上げて来て、男子が誰だったか特定出来なかった。

…良く良く見れば、優馬先輩だった様な気がする。

「互いに頑張ろうな」

『はい、そうですね!』

その後、いよいよ高体連が開始した。

俺は長距離だった為、少し後の方になる。

『(…綾萠先輩、来てないのかな…)』

そんな事を、試合前に考えてしまう。

俺的には来てほしいけど、多分来ていないだろう。

『(……ダメ。今そんな事を考えてちゃ)』

思考を首振って消し、走る時まで集中していた。

…キャーキャー騒ぐ、女子の声を無視して。

ついにその時がやって来た。

俺は位置に立ち、合図を待つ。

バンッと音が聞こえ、俺は走り出した。

『(…少し本気出して…)』

意外にも周りが早い。

絶対に負けたくなかった為、俺は少し本気を出して走り出す。

『(…?)』

チラッと観客の方を見ると、ある人物と目が合った。

「!!…が、頑張れっ!蒼飛くんっ!!」

何か決意した表情をして、大声でそう叫んだ綾萠先輩。

『っ!!』

俺はコクッと頷き、一気に周りを追い抜かす。

そしてゴールの時、圧倒的勝利を手にした。

『(後は…もう一回長距離…)』

後1回やる長距離で1位を取れば、全国に行けるかもしれない。

綾萠先輩の所へ行きたかったが、そんな余裕は無かった。

意外に体力が削られている。

『はぁ、はぁ…』

「…珍しいな。お前がこんな所で、辛そうな息の仕方するなんてな」

『……優馬、先輩…』

「走り良かったぞ。まぁ…それでアピールしていたとしても、綾萠は俺のだから」

そう耳元で囁かれ、俺はビクッとした。

「綾萠は俺のだから」…?

「だってお前、彼女居んだろ。何だっけな…佐野キラリ、だったか?どうやらそいつも高体連見に来てるっぽいぞ」

『…アイツは彼女じゃない。好きでもない。…ただの…同級生だ』

俺は苛立ちから敬語を外してしまった。

『優馬先輩。…綾萠先輩は、俺のですから』

そう言い放って、場所を移動した。

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