【名前変換オリジナル】風鈴の音が君を誘えと (ページ11)

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僕達は見晴らしの良い場所を見つけ、座り込んだ。

「『頂きまーす』」

声を揃えて綿飴を食べる。

「ねぇ、A」

『ん?なぁに?』

「付き合お?」

彼女から告げられた言葉に、僕は少し驚いた。

だけどその驚きもどんどん無くなって行って

『良いよ、付き合お』

と、返事していた。

「まぁ遠距離恋愛になっちゃうけどね…」

『そうだな…』

その時、僕等は見つめ合っていた。

お互いに唇を重ねた時、花火が綺麗に上がった。

「んふふ、大好き」

『僕も。鈴が大好き』

また綿飴を食べ進める。

すると突然、鈴が寄りかかって来た。

「あはは、風邪引いてた事、忘れてた」

『今来たのかな?』

「うん、そうみたい」

そんな彼女も愛おしい。

「全くあんたは〜」

「ごめん、お母さん」

花火大会から帰って来た次の日、僕は家で鈴を看病していた。

また発熱したと聞いた彼女のお母さんが、軽く怒っているのだ。

「まぁ、A君と付き合ってキスして、良かったじゃない!」

「『え!知ってたの!?』」

「ええ!少し遠くから見ていたA君の家族に、教えてもらったのよ!」

そんな事知らなかった…。

その時

ﾁﾘｰﾝ__

風鈴が喜ばしそうに、鳴ったのだ。

『また会おうね』

「うん!寂しくても、メールあるし大丈夫っしょ!」

ついに別れの日がやって来た。

「ついでに俺ともやり取りしような」

「おっけー!」

“別れの日だから”って拓海も来たのだ。

「それじゃあ、またね。ばいばい!」

『ばいばい!』

「また会おうな!」

彼女を乗せた車が走り去って行った。

「A」

『何?』

「付き合えて、良かったな」

拓海が急にそう言った。

「俺も鈴ちゃんと付き合いたかったけど、彼女自身の視線がAに変わったんだよな。だから、付き合えなくて、お前を影で応援していたんだよ」

その言葉に驚きを隠せなかった。

『ありがと、拓海!』

「良いって事よ。従兄弟だろ?」

『そうだね…!』

僕等は抱きしめ合った。

そして、僕等は卒業した。

長かった様な短かった様な高校生活だった。

あれから彼女とも従兄弟とも、上手く行っている。

ﾁﾘｰﾝ__

『風鈴、君のお陰だよ』

僕は風鈴に微笑んだ。

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