【オリジナル】石化の魔眼を持つ少年Ⅰ (ページ13)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:5,027 hit

13話ページ13

・

予想が的中、教室内では女子達が騒ぎまくっていた。

僕がどうのこうの、葵がどうのこうの、誰が殺されただの騒ぎ立てては、周りは溜め息を吐いてうるさいとでも言うように冷たい視線を送っている。

「あ！おい白河！お前だろ！」

女子とは思えない治安の悪い口ぶりに、僕は「はぁ」と息を吐いた。

『一体何のこと。朝からうるさくて頭が痛いよ』

言われた女子は勿論、周りも目を大きくさせていた。

それはそうだろう、ほぼ無口で葵としか関わらない僕が、淡々と言葉を述べたから。

やり返さないと気が済まないのもあり、少しばかり豹変して言い返してみたのだ。

「っ、し、白々しい！」

『そう思うのは勝手だけど、なんで僕が関わってると思ってるの？』

「だって！石化出来るのはアンタしかいないじゃない！」

『とんでもない決めつけだね、言い掛かり酷いな』

まぁ実際僕しかいないのだろうけど。

僕が石化させたなんて自白していないし、側から見たら決め付けでしかならない。

それに…僕は皆の前で、眼帯を外したことや右目で何かを見て石化したことなんて一切無い。

「なっ…！」

『とにかくさ…朝から騒がないでくれるかな』

「いい加減うるさいんだけど」といつもの無表情のまま見つめる。

するとやっと女子は他の皆からの視線が分かったのか、そそくさと席に戻っていった。

『…はぁ』

とはいえ、朝からこんな喋りたくなかった。

第一に僕がやったと判明しても、葵に手を出したのは女子や大男が先だ、悪いのはそっちだろう。

葵の件も僕に対する虐めの件も、これで少しは復讐して晴らせた、弱くなるのは圧倒的にあちら側だ。

席に座って授業の準備を一応する。

「おはよ〜」

葵はいつものように仲の良い女子に挨拶し、席に座る。

葵を呼び出した女子達には全く話そうとしていなかった。

『(それが妥当な判断か)』

僕は机に頬杖を付きながら、葵を観察していた。

気付けば葵と目があって、微かに笑みを送る葵。

『…』

いつもなら何とも無いはずなのに、今回ばかりは少し違っていた。

その笑みが嬉しくて、心に響いたのだ。

あの優しくて、けど稀な弱い一面、昨日の葵を見て今日だったから、安堵した＿僕はそう思い込むことにした。

『(まさか恋だなんて……あり得るはずが無い)』

僕は思考を切り捨ててモードを切り替えた。

また嫌な授業が始まるのか、そう思考を巡らせ始めた。

「(…分かってくれないのかな、琴は)」

・