第９章【ぐっどもーにんぐ】 ページ1
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「おはようございます」
今日は特に朝の自主練習をするつもりでもなかったが早くに目覚めてしまったため、何か手伝えることはないか、と食堂に顔を出した美琴。すると、食堂の扉を開けた途端に広がる芳醇な香りに美琴はうっとりと陶酔して顔を緩める。
「おはよう、美琴ちゃん」
「おはようございます」
「美琴ちゃんは早起きだねー！」
順に木野、神門、ヨネが厨房から声をかけて彼女の挨拶に答える。すると、数の足りない声に気づいた美琴は、テーブルを乾拭きしている神門に尋ねた。
「杏奈ちゃん、つくしちゃんは？」
「先輩なら洗濯物をしに」
「そう……何か手伝えることってある？」
「えっと、」
神門が手を止めて思考に浸かっていると、厨房で味噌汁を作っているのか、お玉で大きな鍋の中身をゆっくりと混ぜていたヨネが「じゃあ、」と笑顔を浮かべた。
「つくしちゃんのお手伝い、してくれるかい？」
＊＊＊
「おはよう」
「美琴ちゃーん！！」
少し遠くから声をかけると、選手とは少しデザインの違ったジャージを着た大谷は真っ白のタオルを片手に、大きく手を振る。外の冷たい風に吹かれ、少し離れたところにまで届く柔軟剤の香りに導かれるがまま、美琴は大谷へと歩み寄る。
「すごいね、この量」
「まあ18人分だしね、私もはじめはビックリしちゃったよ！」
＿＿今はもうすっかり慣れちゃったけど。
大谷は洗濯カゴから水気を帯びたタオルを取り出し、皺を軽く伸ばして手際よく、ずらし干しを完成させて最後の仕上げに洗濯バサミでタオルを竿に固定する。「手伝うよ」大谷の隣に並んだ美琴も、彼女と同様に慣れた手つきで作業を進めた。
「美琴ちゃん手慣れてるねー！」
「そう？」
「うん！マネージャーにほしいくらい！」
「それって、スカウトってことですか？」
「はい！是非ともうちのマネージャークラブに！契約飯は幾らで出しますから！！」
「……契約飯を出されてしまったのなら仕方ありません。これからよろしくお願いします」
手を進めながら茶番を繰り広げる彼女たち。
そんな姿を神門が見たら、思わずため息を溢すような光景でもあるが、彼女たち本人が楽しそうなので良しとしよう。()
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作成日時：2019年1月26日 11時
