全部盗んで、怪盗さん【2j3j】

#家 ページ10

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渡会さんの姿が見えなくなったのをきちんと確認してから家に入る。ただいま、と廊下に向かって声を出すけど反応無し。そりゃそーか。




『夜ご飯いいや、勉強して寝よ』




両親は家にほとんど帰ってくることがない。別に仲が悪いとか、そーゆーのじゃなくてただただ忙しいのだ。

小学生の頃は学童に行っていたし、中学の時は1番心配な時期だから。とどちらか片方が早めに帰ってきていた。でも高校生になってからは、1週間家を空けるのなんてザラで、今はほとんど一人暮らしの様な状況になっている。




『ずっとカフェにいたいなあ』




お風呂を溜めて、洗濯機に3日分くらいの服をぶち込みながら1人で呟いた。親がいない分、なにか話すなら学校かカフェしか無いのだ。心の拠り所ってやつ。それに好きな人にも会えるしね。

渡会さん、風楽さんにはこのことは伝えてある。そしたら、自炊大変でしょって料理を少しだけ貰えるようになった。あんまり大食いってわけじゃないから冷凍して少しづつ食べてる、美味しい。




『早く朝になってくれ〜〜〜〜〜〜』




さっきよりも大きい声で言ったけど、誰も反応してくれるわけなくて、溜息をついた。




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