姉愛［21］｡独占欲爆｡ ページ21
｢ねーねから離れて！ どいて！｣
｢いいじゃんそう言わずにさ弟君〜！｣
｢ダメ！僕のねーね取っちゃやだ!!｣
…………何だこの状況。
右には私の腕に抱き着きながら歩く焦凍。
と。不本意ながら着いて来ている涼チビ。
さっきからずっとこの調子だ。
涼チビが私と手を繋ぎたいとほざき、それを焦凍が駄目と必至に叫ぶ。
まぁ、私もこんなストーカーまがいと手を繋ぐのは嫌だから焦凍の意見には賛成だけど。
だけど。だけどさ。
｢お願いだって弟君！｣
｢ダメ！ 僕のねーねなの!!｣
私を挟んで叫び合うのは止めて欲しい。
｢焦凍声抑えて。響くから｣
｢あっごめんねーね………｣
｢分かったらいいんだよ。
そんなにションボリしないで」
君は何て可愛らしいんだろう。
笑ったり落ち込んだり怒ったり。
とても表情豊かで見ていて飽きない。
｢ちょいちょいAちゃん｣
｢あ？｣
焦凍を撫でていたというのに、横から入って来た涼チビ。
｢何の用｣
満面の笑みで自分の頭を指差すだけの馬鹿。
訳が分からず手は焦凍の頭に置いたまま彼の顔をマジマジと見つめる。
おい何だ。その期待に満ちた笑顔は。
私に何を求めてるんだおチビ。
｢(Aちゃんそうだよほらっ！
僕の頭も撫で撫でして！ほら！)｣
…そうか。分かったよおチビ。
グシャァっ!!!
｢ぎゃあああぁー!!｣
｢わぁ頭へこんだー！｣
｢面白いかい焦凍｣
｢うんっ凄いねーね！｣
｢和まないでええぇぇ｣
一々煩いな。
君の望み通り殴ってやったのに。
｢あっそうかそうなの!!? 僕の頭撫で撫でしてアピールを頭ボコボコにしてアピールってとっちゃったのね！ 勘違い凄いよAちゃん!!｣
｢何だ。間違ってたの｣
｢何でそんなに冷静なの！？ 僕の頭鳴っちゃいけない音したよね！ あの音絶対ヤバイよね！｣
｢知るか｣
｢どうしよう左脳逝っちゃったかもよコレ!!｣
本当に煩い。
もう置いていこう。
｢行こう焦凍｣
｢あ、うん！｣
露骨に嬉しそうな顔をする焦凍の手を引き、幼稚園へ歩き出した。段々遠ざかって行く中性的なおチビの声を置き去りにして。
｢あああぁぁーっ!! 左脳があああぁ………？
あ、あれAちゃん？ 弟君？ あれ放置？｣
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作者名：よる。 | 作成日時：2016年9月21日 16時
