姉愛［298］｡満帆気持｡ ページ48
｢……ふふ｣
颯輔の温もりをまた近くに感じられる。
あの時もう一生感じられないと思って覚悟したのに。またこうやって頬を寄せることが出来る。近頃は涙腺がぐにゃぐにゃで困るな。鼻だって詰まるし目が赤くなったりするし。
けれど、涙でぼやけて見える颯輔の顔もいいかも知れないなんて思う時もある。
今もこうして見上げられる。
なんか、苦しそうにしてるけど本当は楽しそう。
｢お…れも、Aさんと、ハグ……｣
｢うっぼ、僕も、僕もAちゃんの胸ぇ…！｣
ふと二つのひ弱な声が耳を通った。
｢あっ。テメェら意識戻ったのか｣
颯輔の首を締め上げつつケロッと言う治嗣。
｢ズルいよ…僕だってぇ、Aちゃんと｣
｢取り敢えずAさんから離れろ野郎どもおぉぉ…！｣
ゾンビ映画のワンシーンかと見間違えそうになる。ベッドを這い清潔な床を這い点滴を腕に繋いだまま迫ってくる涼羽と梛。
獣のような瞳で唸り威嚇する。
｢でりゃあああ｣
涼羽が変な雄叫びあげ飛び込んで来た。
続いて私の背中に梛の胸板が密着したかと思えば、颯輔を抱え込む治嗣ごとホールドしにいった涼羽。左側の安全地帯で静まっていた焦凍が、その勢いに任せ颯輔の右腕に噛みつく。
｢ちょちょちょ重い誰か分かんないけど噛むのやめて！｣
｢バッ病み上がりは大人しくしてろ！ いっ｣
ついに倒れてしまった。
一番後ろで衝撃をまに受けた治嗣が呻き声をあげ次に颯輔も低声を吐き出した。
涼羽と梛は一緒に右に散らばり焦凍は左側に転がる。
消えた重みにほっとする。
惚けていると焦凍と目が合った。
｢……A姉｣
｢…うん？｣
頷いて幸せに淑やかに滲む弟の顔を見つめた。
騒ぐ涼羽たちを他所に二人だけの世界に溶ける。自然と和らぐ口許と目尻。
｢俺、いま凄く幸せだよ｣
反射的に同感を示した。私もだよ。
｢私も。轟Aとして生まれてよかった｣
｢うん。俺も、轟焦凍でよかった。A姉の弟でよかった。A姉の弟だったからこそ、胸を幸せな気持ちで満帆に出来るんだなって思うもん｣
｢私も。焦凍のお姉ちゃんだったから｣
焦凍の右手のひらが私の左手を包む。
この瞬間を噛み締めてずっとのこしておきたい。
誰にも渡したくない私の幸せ。
私だけが知っている。この暖かさを。
｢ふふっねぇ、｣
｢ん？ なに焦凍？｣
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
