姉愛［296］｡存在絶大｡ ページ46
｢私もごんね。君があんなに私のことを想っていてくれていたのにそれを勝手に握りつぶすようなこと｣
｢違うっ…違うよA姉！ それは、俺が｣
｢ううん。私がお姉ちゃんなのに馬鹿だから｣
焦凍の柔らかな髪に額と鼻を埋める。
二人して抱え込むような体制になって、焦凍は泣きじゃくって私は鼻声で涙を少しだけ目尻に溜めた。治嗣は静かに距離をとって私達に充分な配慮をしてくれる。
湿っぽい空気が周りをふわりと包んだ。
｢俺、A姉に酷いこと言って…何も仲直りも出来ないままA姉があんなことになって…もうっ、もうお話すら出来ないんじゃって思って…｣
ずるずる鼻をすすりながら涙の合間に言葉を紡ぐ。
そうか。私は、ここまで弟を不安にさせてしまっていたのか。自意識過剰かも知れないけれど、もしかしたら他のみんなも。
実感が湧いた。
生きてて良かった。
愛しい弟を、仲間たちを、置いていくなんて嫌だもの。
｢……うん｣
ありがとう。
生かしてくれた貴方。
｢ごめんなさいA姉ぇっ…もうあんなこと言わないから…！ だからまた一緒にっ｣
｢勿論だよ。もちろん…焦凍。また一緒に歩こう｣
たくましいはずの今は拙い背中を撫でてやる。
すると私の背中にも温もりが伝わった。焦凍の両手が白いシャツを強く掴んでいるみたいだ。シワができちゃうなぁ、なんて微笑む。
その手のひらからまた違う悲しみが伝わってきた。
｢…西宮にも、ありがとうって言いたかった｣
やっぱりそうだよね。
君も彼が大好きだったものね。
悲しくないわけ、ないよね。
｢…っ｣
治嗣の息遣いが少し冷たくなる気配がする。
彼も、颯輔を慕っている一人だから。
｢俺たちを救けてくれた西宮に…｣
｢…そうだね、でも、もう｣
改めて自覚する。
颯輔はもういない。
どうしてだろう。こんなに苦しい筈なのに。こんなに悲しくてはちきれそうなのに。私の心は正常に日常を生きている。
もう二週間だ。
｢颯輔……｣
もう少しだけでも君と──
｢はーい呼んだー？｣
｢………｣
｢ありゃ、俺今呼ばれたよね？ ねぇA嬢チビ助ーって治嗣お前もかよしっかりしろ！｣
これは何だ。何だこれは。
亡霊？ 幻覚か？
私は一体何を見ているんだ。
私だけが見えているとしたら相当に危険な精神状態だ。思って焦凍と治嗣を伺う。二人とも目が点になっているじゃないか。
と言うことはコイツは。
｢いやー戻って来ちゃいました。西宮さんです｣
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
