姉愛［273］｡夕暮の処｡ ページ23
｢久し振りだね。Aちゃん｣
｢轟少女…！？｣
黒い液体のカーテン越しに辛うじて見えた。
地面にボトボト消えていく謎のそれを一瞥してから、ガタイのいい二人を見上げる。見慣れたオールマイトの顔だ。いや違った。
笑顔じゃないオールマイトなんて、初めて見た。
｢………だれ？｣
誰だろう。あの人は。
久し振りって言われても私は知らない。
あんな強烈な人、見たら忘れない筈なのに。
｢イイ声だね。いつもと違って震えている｣
｢貴様ッ！ 何故轟少女を！？｣
｢少し黙っていてくれるかい？ 僕は今Aちゃんと話をしているんだよ｣
冷ややかに言いやり、オールマイトへ鋭利な風圧を飛ばした。
｢ぐっ！｣
｢オールマイト…！｣
あの英雄が何十mも吹き飛ばされた。
グラグラの心が煽られる。
｢ねぇAちゃん。覚えてないと思うけれど僕達は昔会ったことがあるんだよ｣
｢………まず、ここはどこ｣
｢ん？ あぁ、ごめんね突然連れて来てしまって。ここは神野。そしてオールマイトの墓場。君の、Aちゃんのお披露目会場だよ｣
｢……｣
何を言ってるんだ、コイツ。
オールマイトが負ける訳ない。
お披露目会場って何、意味がわからない。
｢…勝己は｣
｢大丈夫だ轟少女。爆豪少年はついさっき緑谷少年達に救出されたから｣
私の肩に大きな手を置いて伝えてくれた。
いつの間に背後に立ったのだろうオールマイトは、何とか作った笑顔で宥めようとしてくる。けれどその辛そうな笑は、私の胸を掻き乱すだけで。
どうして…どうしてそんな顔を。
どうして私はこんな所に。
｢貴様は、貴様はお師匠だけに飽き足らずこの娘まで…ッA少女まで壊そうと言うのか!!!｣
………オールマイト？
｢許さない、許せない!! 貴様だけは！｣
｢まだ話の途中だ｣
また吐き捨て、私に平坦な顔を向ける。
この時初めて感じた。
ソイツの異様さに。無条件に恐怖を叩き付けてくる、その乱暴な空気感に。
｢Aちゃん｣と滑らかに呼ばれた。
｢君はおよそ16年前、夕暮れの公園で、僕と出逢っているんだよ｣
夕暮れの公園…？
【楽しそうだね。お母さんと一緒かい？】
16年前に会った。
【綺麗な目だね。君、名前は？】
あの時、私は──
【わたしA！ 4さいなの！】
馬鹿みたいに笑って。
【おじさんは？ おなまえなぁに？】
【僕？ 僕はね】
｢オールフォー…ワン…｣
｢ふふ｣
【オールフォーワン、とでも言っておくよ】
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
