姉愛［270］｡上司部下｡ ページ20
塚内side
｢NOOO!!｣
オールマイトの余裕が吹っ飛んだ叫び。
それに漬け込むように何も無い筈の空間から真っ黒い液体が溢れ出した。更に顔を出したのは、脳を丸出しにした知性を感じられない巨体たち。
額から、こめかみから汗が滲んだ。
｢塚内！ 避難区域広げろ!!｣
近頃すっかり娘ラブになったエンデヴァーに急かされる。
｢っ、アジトは二箇所じゃなかったのか！？ ジーニスト！ そっち制圧したんじゃ…｣
────。
返答が無い、何故！？
｢おいジーニスト！ ジーニスト!!｣
落ち着いた低い声を求めるが、無線は何も届けてはくれない。最悪の事態を予想してしまった。
まさか、あちらが失敗したのか！？
あれだけの精鋭揃いだと言うのに！
｢駄目だ…っジーニストらと連絡がつかない！｣
｢何ィ！？ 失敗したのか！？ グダグダじゃないか全く!!! もっと気ばれんのか!!?｣
脳無を炎で炙りながら怒鳴られた。
｢…っくそ｣
【直くん、指示上手いから羨ましいよ】
【ちょちょちょっ俺先輩なんだけど！？】
【頑張ろ一緒に。ねっ、ほらオー！ てさ】
｢…………｣
あの人、こんな時に何処ほっつき歩いてるんだろう。
いつもいつも時間に遅れたり寝坊したりヘラヘラしてて緊張感とか感じられなくて、係長だって聞いた時は本当に人生一驚いた。
こんな人が上司で大丈夫なのかって。
心の底から心配した。けど。
【ここは俺に任せて】
やっぱりピンチの時は駆けつける。
どんな警察官よりもかっこよくて、正義感に溢れて、誰よりも人を守れる人。
今こそ…来て欲しいって言うのに。
｢エンデヴァー!! 塚内くん!!｣
｢何だ!!!｣
不機嫌さを丸出しにオールマイトを見上げるエンデヴァー。
｢大丈夫か…っ？｣
｢老眼か貴様は!! 大丈夫ならこんなに苛ついていない!! 行くならさっさと行くがいい!!!｣
また脳無を薙ぎ倒し、ぶっきらぼうに背を向けた。
その横で力強く頷いておいた。
｢…ありがとう。任せるね｣
頼り甲斐しかないな。
｢塚内!!｣
｢え、！？｣
脳無が目前に迫っていた。
しまっ、
｢這いつくばってろ!!｣
ボォオっと熱気が散った。
｢……あ、ありがとう、少年｣
｢いえ｣
倒れた脳無の後頭部がまるで削がれたように赤く染まっている。
直ぐに目を逸らし少年を見やった。
｢来て欲しいですよね｣
｢え？｣
｢何でもないです｣
｢……｣
来て欲しいですよね、颯輔さん。
｢……あぁ｣
そうだね。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
