姉愛［257］｡非距離間｡ ページ7
──独り善がりだよ!!!
何度も。何度も、その言葉がループする。
焦凍達のためにと思って口を噤んだけれど、それは間違いだったと言うのか。今もし｢颯輔が行方不明になった｣なんて伝えたらどうなる？
不安に不安が上乗せされて今の私のように余裕が削られるだけだ。
違う？ 焦凍、君は颯輔を慕っているよね。
分かるんだよ私は。君のお姉ちゃんだもの。
｢……｣
私は、私は。
｢ごめん｣
私は、お姉ちゃんだから。
｢っ！ …もういい｣
ふん、と体を背けられる。
割と鮮明な拒絶に、心が軋んだ。
｢Aさ｣
｢気にしないで｣
｢……うん｣
断言すれば、色褪せた瞳でそっと身を引いた勝己。
私の嫌いな雰囲気が濃くなってしまった。
そんな空気にしたのは紛れもなく私自身。
不甲斐ない。どこまでも私は情けない。
｢と、とにかく施設まで急ごう…！ この面子なら、かっちゃんを守りきることだって難しくないと思うんだ！｣
｢……。そうだな｣
｢む？ 爆豪は敵に狙われているのか？ 何故？｣
｢それは分からん。が、とにかく護衛に励む｣
私以上に落ち着いている障子を直視出来ない。
どうして敵は勝己を狙うのか。全く敵は私を掻き乱す事しかしない。戦力を蓄えるために仲間が要ると言うなら、裏の有名な人間でも引っ張り出せばいいものを。
何故わざわざ、勝己を。
………タチが悪い。
｢早く行くぞ｣
｢待て轟、お前は円場を背負っていて俊敏な動きがとれないだろう。先頭は俺に任せてくれ｣
｢…お前も緑谷しょってるじゃねぇか｣
｢コッチは軽い。それに、俺には腕がこんなにある｣
｢…………｣
無愛想に後方へ歩んで行った焦凍。
初めてじゃない。
大体は人当たりのよくない焦凍だけれど、ここ最近は出久のおかげで柔らかくなっていた筈だった。クラスメイトには特に柔らかく、接していたし保っていた。
それを壊したのは、先程の私との衝突…だろう。
｢…！｣
目が合った。
｢……｣
秒で逸らされた。
ズキッ──。
張り裂けそう。比喩ではなく。
｢………｣
こんな気持ち、味わいたくないのに。
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みるくてぃ(プロフ) - 電車で完結まで見たのですが、涙が止まりませんでした。本当に大好きな作品です！また読み返そうと思います！ (2021年6月29日 12時) (
レス) id: 850a94406b (このIDを非表示/違反報告)
夏李 - とても面白かったです！でも爆豪のヒーロー名は爆心地かと、 (2019年5月10日 18時) (レス) id: 663d9c3cae (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわわたあめ♪(プロフ) - 涙腺崩壊…ほんとにやばい、面白すぎ！完結おめでとうございます！ (2018年7月23日 17時) (レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
Sena - 完結おめでとうございます！感動しましたー！姉弟愛が凄くよかったです。 (2018年5月23日 15時) (レス) id: dfb791a807 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ありがとうございました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2018年5月20日 16時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる。 | 作成日時：2017年10月20日 19時
