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Aside
昔からの悪い癖、というか性格。
どうしても断れない。
私が断らないって分かって頼んできてる人がいることも分かってるんだけど。
佐々木さんみたいに言い方が丁寧な人の頼みは特に無理。
元々争いが嫌いな性格だから、自分が我慢して平和に収まるならそれでいい。
だから昨日みたいなことは、ほんとに心苦しい。
佐々木さんの頼みを断ったことも、それを彩に言わせた上に仕事をさせてしまったことも。
不甲斐ない自分。って思っちゃう。
「はぁ、、」
「Aちゃんが、気にすることないよ。悪いことしてないじゃん。」
「ありがとうござます。」
してるよ、悪いこと。
佐々木さんにも、彩にも。
「君、ちょっといいか。」
「はい。」
「会議の資料を50人分、作ってくれ。」
「50人ですか!?」
「新しい企画の発表会でな。上層部の方も来るんだ。忙しいと思うが、今日中に頼む。」
これはさすがに驚いた。
いつもは10人くらいなのに。
「分かりました。」
席に戻るときに彩と目があって、また引き受けてる、って顔されたけど、
これは仕事だから、仕方ないじゃん。
よし、頑張ろう。
春になれば社会人3年目になる。
そうすれば、後輩たちも育ってる頃だろうし。
その時ふと二階堂くんの顔が浮かんで、彼も上司の人に使われたりするのかな?って思ったけど、
彼は違う気がする。
人懐っこそうだから可愛がられてるだろうけど、ちゃんと嫌なものは嫌って言いそう。
周りもそれを許しちゃうんだろうな。
「A?」
「、、あっ、何?」
向かいに座る彩が、顔を覗かせる。
「ニヤけてた。」
「えっ!!!ニヤけてないよ!!」
「自分じゃ分からないでしょ?がっつり口角上がってましたよ。」
「べ、別になんでもないからっ。」
ニヤニヤしてる彩に、慌てて弁解する。
「ふ〜ん。」
絶対誤解されてる。
そんなにニヤけてた?
、、、
でも、私が男の人のこと考えるのなんて珍しいかもな、、
男の人って言っても、子犬みたいな感じだけど。
あのふわふわした髪に、くしゃっとした笑い方。
あの子犬と見分けがつかないよ。
、、ってまた考えてた。
やめよ。集中、集中。
そんな私を彩がまた不思議そうに見てることに、私は気づいてない。
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作者名:ちーず | 作成日時:2019年11月21日 21時